趣味Web 小説 2004-10-26

閲覧者の希望と情報の公開コスト

otsune さんの主張は、端的にはこの一文でしょう。

「自分がWebサイトを運営するのに数万円もサーバー代を払う気がない」って人は、そのまま御退場してもらったほうが正のスパイラルに入るのでは。

もっともなご意見……のようにも思いますが、私の興味はそこにないし、私が主張したかったのはそういった話とはかけ離れたことです。

私は作者自身が情報公開に熱心かどうかを問題にしていない。閲覧者が、自分の見たい情報、欲しい情報を守るために、何もしようとしない。作者とサーバ業者に任せきっている。その怠惰を批判したかったのです。作者がくだらないと思っていても、閲覧者は価値を見出している情報は少なくありません。サイトのログ消しがしばしば物議を醸すのも、作者の考えと一部閲覧者の希望に齟齬があるからです。ostune さんの提案では、こうしたケースに対応できません。

さて、参照記事はサーバ業者擁護のために書かれたものです。閲覧者がみな otsune さんのような意見なら、そもそも負荷増大でアカウントを停止するサーバ業者が閲覧者に責められることはないはずでしょう。少なくとも、今、話題にしている文脈においては。

もちろん、現実は異なります。収支が赤字になったサーバ業者にとって、人気の出過ぎたサイトはお荷物です。情報公開意欲の限界に達した作者にとって、それ以上のコスト負担は苦しいだけです。このときコンテンツを守る余力があるのは閲覧者だけなのに、自分は1円も負担する気がなく、「サーバ業者はもっと我慢すべき」と無茶をいうしか能がない……これが批判の骨子です。

WWW に公開される情報の大局的なクオリティ向上策は私の眼中になく、今、そこにある問題への対処だけを閲覧者の立場から語っています。立ち位置も見ている場所も違うので、話が噛み合っていない。なんか変だと思ったのはそのためだと思う。

逆リンク!(など)
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  6. ない袖は振れぬ(サイトの人気とサーバの選択:補足)
  7. 閲覧者の希望と情報の公開コスト

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