趣味Web 小説 2004-12-03

Amazon カスタマーレビューで戦う理由

「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」が3刷になったそうです。嬉しいですね。

私は今でも、最高の Web サイト作成入門書は「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」だと考えています。Amazon のレビューで大勢の方が証言されている通り、正しく効率的な方法を、初心者にもこれほどわかりやすく説明し、理解させることができたのか! と驚嘆する内容です。

しかし残念なことに、入門書としては2色刷の紙面が致命的です。しかも噛んで含めるような読み物風の解説スタイルですから、一見、文字が多い。初心者、初級者に最適の1冊なのに、フルカラーの画面写真ばかりで構成された本をほしがる彼らには、あまり売れそうにない。それは単なる食わず嫌い、読んでみれば不安は吹き飛ぶはずなのだけれど、やっぱり1年間は売れなかったそうです。ところが何と今年になってグングン売れ行きが伸び、先月末には2回目の増刷がかかりました。

私が本書に出会ったのは2003年1月3日、新横浜プリンスホテルの傍にある電器屋の書籍コーナでした。入門書然とした表紙でありながら、タイトルが「ホームページ」ではなく「Webサイト」で、しかも「HTMLとスタイルシートによる」というのです。否が応にも期待が高まりましたが、内容はその期待のはるか上を行きました。これは素晴らしい、たいへんな傑作だと思い、すぐに購入して確保したものです。

私がたくさんの解説書をレビューし始めるのは2004年3月のことで、2003年1月当時には、まだそういった趣味はありませんでした。HTML も CSS も、自分のやりたいこと(難しいことは希望していないので、勉強もそれほど必要ない)を実現するには十分な知識がありましたし、解説書なんて、買う予定はなかったのでした。だから、書籍コーナに立ち寄ったのは、全くの偶然だったように思います。その私が一種の天啓を受けた、その衝撃が皆さんにご理解いただけるかどうか……。

以降、私は時折この備忘録で奨めたり、サイトの表紙から某通販サイト(忘れました)の書籍紹介ページへリンクしたりしました。書店で売れないなら通販で売るしかない。レビューと書影と値段だけなら、いけそうだと思いました。幸い、表紙のイラストは非常によいものだったので。

編集者の方が頑張られたようで、Amazon 以外のいくつかの通販サイトでは、たいへん訴求力のある紹介文が掲載されていました。しかし、よりによって最大手の Amazon では、紹介文が途中で切られてしまっています。そこで、初めて徳保隆夫の名でカスタマーレビューを書くことにしました。人生2度目のレビューだったので、時間をかけた割に精彩に欠けるレビューとなってしまいました。でも、燦然と輝く5つ星が、この傑作が本の海に沈んでいくことを少しでも防いでくれるものと信じました。

数ヶ月たち、ポツポツと、いくつかの常連読者さんのサイトに本書の感想が載りました。いずれも好意的な内容。Amazon のレビューにも、「参考になった」票がじわじわと増えていました。でも、じりじりと売り上げ順位は下がっていきました。通勤途上の書店からも消えてしまいました。売れたならいいですよ。でも、それなら補充されるはず。そして入れ替わりに書棚へ入った本の内容がひどくて……悔しかったです。でも、資本主義社会は売った者勝ち。何とかしたい、でも何をしたらいい?

Amazon カスタマーレビューで戦うという発想は、かなり早い段階で生まれたものです。けれども、時間とお金に相当の余裕がないと、意味のあるレベルに達しないと考え、選択肢から外してきたのでした。しかし、他に妙案はありませんでした。

その後の展開はご存知の通り。検索ワード「HTML」「スタイルシート」で首位に立った「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」は、さらに激戦区の検索ワード「ホームページ」でもたびたび首位に立つベストセラーとなりました(ただし Amazon のみ)。これはもちろん、私の力などではなく、本の力です。私のレビューは切っ掛けに過ぎません。11人中10人のレビュアーが5つ星をつけています。私一人が高く評価しても、2人目以降のレビュアーが辛い評価を下していたら、その後の展開はまったく異なっていたはずです。

人に勧めてこれほど喜ばれた本は他にありません。メールでもよい感想をいただきました。興味のある方は、立ち読みでもけっこうなので、ぜひご一読を。お気に召しましたら、「いい入門書ない?」と訊ねられたときに思い出していただけるとありがたいと思います。

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