追補W問題Vol.4

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律[2004年02月03日]

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
(平成十三年十一月三十日法律第百三十七号)
(趣旨)
第一条
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気 通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定電気通信
不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二 特定電気通信設備
特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
三 特定電気通信役務提供者
特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
四 発信者
特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
(損害賠償責任の制限)
第三条
特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
  • 一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
  • 二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
  • 一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
  • 二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(発信者情報の開示請求等)
第四条
特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
  • 一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
  • 二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
2 開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報 の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて 当該発信者の意見を聴かなければならない。
3 第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発 信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4 開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者 に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、 当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。
附則
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

こせきさんの質問に回答する[2004年2月6日]

この質問への回答が果たしてまとめ代わりになるのか、という疑問はさておき。

1.企業が広告目的で作成する偽の個人ページが仮に存在するとして、それらは制限されるべきだと思いますか?
どのような制限か、によって回答は異なる。よって回答を保留したい。
2.企業が広告目的で作成する偽の個人ページは、上手にやればバレずに済むと思いますか?広告していることを悟られずに済むようなページは、広告として効果があるでしょうか。
個人ページを装った広告は、単体では広告手段として非効率なので、サーチエンジン対策としてしか使えないのではないか。
3.企業が広告目的で作成する偽の個人ページは、現状でも相当数存在していると思いますか?
サーチエンジン対策であれば、ありえる。SEO 業界全体の評判を落とす望ましくない手法として従来より有名なので、まるで実態がないということはないだろう。ただ、相当数という表現がどの程度の状況を想定しているのか不明なので、回答を保留したい。
4.買い物をする時の判断材料としてサーチエンジンを利用する場合、どのような検索結果が理想的だと思いますか?
まず公式情報が得られること。次に、商品の比較ができること。いずれにせよ、「嘘」「大げさ」「紛らわしい」に当てはまる情報は、好意的なものであれ、批判的なものであれ、望ましくない。
5.ユーザに発言を許可するサービス(掲示板・日記・ウェブログ)のプロバイダーは、外部からのクレームに対してユーザの発言内容をある程度保護すべきだと思いますか?
法と契約条件の範囲内で保護すべき。
6.ユーザに発言を許可するサービスにおいて、規約の境界線ぎりぎりの発言をするのは慎むべき行為だと思いますか?
思いません。ただし、その結果には責任を負うこと。
7.自分の発言に対するクレームがサービスプロバイダの方に行ってしまった場合、クレームを自分の方に送るよう積極的に働きかけるべきだと思いますか?
ユーザが何を望むかによる。よって回答を保留したい。
8.企業にとって不利で誤った情報が多数の掲示板・日記・ウェブログ上に広まってしまい、それらが検索エンジンの上位にランクインしてしまいました。どのような対策が行われるべきでしょうか?
どのような情報が、どの程度、広まっているかによる。ネットの一部で大騒ぎしていても、公式サイトで大々的に広報を打たない方が得策であることは多い。クローン携帯電話問題は例外のひとつ。ほとんどのケースでは、粛々と個別に対処すべき。基本的に、大きな発信源(全体の1割未満)を抑えることで、ノイズの9割をつぶすことができる。大きな発信源のひとつが検索エンジンならば、その運営業者への申し入れも当然やることになろう。
9.訴訟などしたくない人がウェブログをやる場合、取り上げることができる話題はおのずと決まってくると思いますか?
実際問題としては、誰も訴訟などしたくない。だから、警告に対してごねることなく身を引くならば、たいていなんでも書くことができる。最初から自粛する必要はない。
10.ウェブログが社会的に意味のあるメディアになるためには、誰もが訴訟の覚悟くらいは持っておく必要があると思いますか?
意味の有無など関係ない。くだらない訴訟は世の中にいくらでもある。我を通せば、訴訟を避けられないことがある、ということ。
11.こせきは結婚できますか?
判断の条件が不十分につき、回答を保留したい。