趣味Web 小説 2005-02-20

若者らしくない若者にも、それなりに居場所があって

なんで年上の人って、年下の人に会うと将来設計について訊ねたがるのでしょうね。私は大学生になる頃までは、大人が喜びそうなことを適当にいってきましたが、タイムリミットは刻々と迫ってきます。いい加減、これ以上は続けられんなあ、と思って20歳になったのを機に堂々と(?)開き直って現在に至ります。

就職活動の前に開き直ってよかったと思います。とても自分向きの会社(大企業で年功序列で労働組合が強くて査定がなく残業は本人の自由で素朴な人が多い)に入ることができたので。

のんびり楽して暮らしたい。仕事はそれなりに、無理はしない。収入は現状維持(手取り月給15万円)で十分。なるべくイベントの少ない静かな生活を送りたい。こうして書き並べてみると、たしかに老人の期待する若者像とはかけ離れていますね。でも入社してしまえばむしろ、ご老公方と仲よくやっていけるのは私のような性格。若者らしい若者なんて、仕事もできないくせに生意気なだけじゃないですか。

周囲に期待されて、ついつい大学へ進学してしまったけれども、本当をいえば、高卒で工場の工員になりたかったと思う。大卒の新卒採用で工場労働者の口があるか、ということを説明会で訊ねたのだけれども、SONY EMCS でも日本特殊陶業でも積水ハウスでも川崎製鉄(当時)でもキヤノンでも(注:これらの社名を見れば、正直、私が就職先の業種は何でもよかったことがよくわかる)「それは難しい」との返事。

アルバイトの経験を拡大して話をするのは危険なのかもしれないけれど、多分、私は優秀な工員になれたと思う。現場の人間は「君みたいな飲み込みの早いのが入ってくれると楽になるんだがねえ」っていっているのに、なぜそうならないか。「頭のいい人には、もっと付加価値の高い仕事をしてほしいから」です。で、私みたいなことをいう新人は、「積極性に欠ける」から要らないのだそうな。現場のおじさんとうまくやっていくのは私の得意なところなんだけどな。

人間関係の構築は、まず相手を尊重するところから。私が現場のおじさんと仲よくなりやすいのは、私のような頭でっかちより現場を知っているおじさん達の方が偉いと心底から思っていて、給料だって当然、おじさん達の方が高いのが正しいと考えているからです。ここが、他の大卒と違う。うちの会社は年功序列だから、大卒・院卒の技術者より高給取りの工員はたくさんいます。それを「おかしい」なんて愚痴る技術者は、結局、工員をバカにしているのですよ。

私のことはともかくとして、モヤモヤした感じのない人の方がむしろ珍しいと思います。悩みつつ、よい方向へ進まれることを期待します。

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