趣味Web 小説 2005-05-20

Strict HTML の啓蒙活動を横で見ていて思うこと

今頃、反応するのもアレですけど。昨年12月の話題。

幅広い環境への対応、という題目も、現実的な人数を数え上げていくか、観念的に対象を広げるか、という立ち位置の違いによって結論は変化します。

あらら、そういうことで悩まないためにスタイルシートという概念があるものと思っていましたが、違いますか? いつまでもそういういつまでもそういう理想と現実なら現実を取るよ、みたいなことを言っていると、テーブルレイアウトから脱却出来ず、僕のように残念がる閲覧者が出てくるわけですが。

観念的に対象を広げていこうとすると、「日本語で書くのをやめて、英語にしようよ」に到達すると思うのです。現実的な人数を数え上げていくとは、「自分のやりたいこと」「自分に作れるかどうか」などに規制された範囲内で、実際に獲得しうる最大の閲覧者数というものを考えること。

多くの携帯電話に対応するには文字コードをシフトJISにして、テーブルレイアウトも避け、ページ容量を厳しく制限しなければいけません。観念的には、それだけ注意すれば、最大限に見積もった潜在的読者数は、簡単に倍増するわけです。でも現実はどうでしょう。

mustan さんの主張は理解できるつもり。おおもとのニュースサイトのデザインが相当にシンプルで、スタイルシートを使って損することがないものだったのも事実。あの場面で、スタイルシートの勧めを説く気持ちはわかりますよ。私だって、時にはそういうことをします。ただ、他人が頑張って啓蒙活動している様子を眺めていてですね、なんだか醒めてくる自分がいるわけです。

ニュースサイトのほとんどに見られる形式の段組について。あー、テーブルレイアウト使っても良かったんだ。テーブルレイアウトってHP界では「禁断の」って謳い文句を良く見てたので避けてたの。柱リンクとか、ピックアップとか便利だし見やすいなぁ、とは思ってるんだけど。

「古いブラウザでもきちんと表示される、スタイルシートによる段組」はかなりの難題です。不勉強な人でも、5分間勉強するだけで(想定読者層の閲覧環境において)確実に段組できてしまう(しかも直感的にわかりやすい)テーブルレイアウトを、単純に代替できるものではない。

文章構造さえしっかりしていれば見えるということですが、それはどの程度の「見える」なのでしょう。リンクの設定が反映されていなくても初期設定状態でなんら問題ないと思って、リンクはスタイルシートで設定しているのですが、FONTが反映されなかったら、うちの場合壊滅的です。文章は読めても見映えが。

やっぱり少なからぬ人々は em 要素と strong 要素だけじゃ満足できなくて、様々な装飾によって、微妙なニュアンスを表現したいと望むものです。「強調していることが伝われば、見え方にはこだわらない」なんて考え方には、そう簡単にはついていけません。

やきもろこしの唐黍(とうきび)さんが、最も楽に希望を実現する手法は何でしょう? それはやはり、テーブルレイアウトであり、font 要素の装飾ではないかという気がするわけです。楽をした代償としての逸失利益と、勉強の面倒はどちらが勝つか。面倒が勝つような気がします。そして現実に閲覧者を増やすのに最も効果的なのは、HTML や CSS の勉強じゃなくて、コンテンツの内容でしょう。

そのサイト自体がテーブルレイアウトで組まれている分には「お好きにどうぞ」な話ですが、「テーブルレイアウト、オッケーです!」みたいなことを吹聴されるのが(しかもアクセス数の多い人気サイトで)勘弁出来ないと言っているのです。

う~ん、そうお考えになる気持ちはわかるというか、私も以前はそんな感じでした。今はバランスの基準が変化しまして、ある意味で「テーブルレイアウト、オッケーです!」でもいいんじゃないか、と。W3C 的穏当さに歩み寄り、さらにもう一歩、向こう側に片足を突っ込んでいるような状況。「Strict HTML + CSS というデザイン手法にこだわるなら、難しいことをするのは諦めなさい」と明言するようになったのが、ひとつの転機だったように思います。

追記(2005-05-24)

不勉強をそのままに、ごちゃごちゃと難しいことをしたがる人が多いわけですよ。その一方で、Strict HTML + CSS について考えていった結果、逆にシンプルデザインに帰着してしまった自分もいる。不勉強な人が、一番ゴチャゴチャしたのを作りたがっていて、それは魂の叫びであって、「お勉強すればそんな情熱は幻のように消えるよ」と説得する気力を私は失いつつあります。

あー、テーブルレイアウト使っても良かったんだ。テーブルレイアウトってHP界では「禁断の」って謳い文句を良く見てたので避けてたの。これが唐黍さんの発言です。使っても良かったんだ。といわれたら、今の私は「そうですね」と答えます。そう答えるしかないと思います。(参考:"いろは"の先のCSS 第8回

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