向こうに出張している人の話を聞く限りでは、「アジアの安全な食べ物:中国の7色に輝く河川と食品という記事を単純に受け取るのは、公民の教科書で公害の説明に添えられた写真だけを見て国全体を判断するようなもの」ということのようですね。
また件の記事はかなり強烈なフィルタがかかっているようなので、同じ調子で日本の写真を集めたら「日本の食品を食べるな!」という記事を作るのも簡単そうだな、と思いました。現代の日本でも公害がないとはとてもいえませんし。それに、単なる自然現象なのかそうではないのか、時間帯と角度の問題で危険に見えるだけではないのか、というあたり、各写真にいつどこで撮影されたのか説明がないままでは検証もできない。
件の記事を見て、なんらの疑いもなく中国を貶しているような方の中には南京事件の偽証拠写真に怒った人も多いと思う。南京事件の犠牲者(軍属も含む)を証拠に基づき少なく見積もることに熱心な産経新聞が天安門事件や文革の犠牲者数を適当に多めに見積もって平気な顔をしている二枚舌と同様、中国や韓国を貶すような話題、あるいはブッシュ政権をくさす記事なら無検証で飛びつくネットユーザたちというのも、どうにかならないものでしょうか。
森達也さんの(一部で)有名なドキュメンタリー映画を見た直後だからかも知れませんけれども、ふだん「自分の目なんか信じるな」といっている私ですが、「とりあえず、でいいから、見に行ってみろよ」といってみたくもなる。何せ「今の話」なのだし、それは隠蔽されてもないのだから。
ところで、森達也さんの本も先月2冊読みましたけれども、この方、かなり主張が強いのですね。ドキュメンタリー向きじゃない、とは思う。いや、ムーア監督もあれで大ヒットしたのだし、こういうドキュメンタリー作家がいてもいいのだけれども、ドキュメンタリーは結局、主観から逃れられないという主張には首肯するけれども、それでもちょっと割り切れない感じはします。
じつは映画の方は、かなり抑えた作りになっているのです。ただ、やっぱり本では心情を思う存分、語れますから。それが気になったということですね。逆にその部分があるから面白いという面もあるので、それはそれでいいといえばいいのですが。
ルポライターで個人的に好きなのは高橋秀実さん。寡作な方だったのですが、最近立て続けに本が出て、すごく嬉しいです。どうやって生きているのか不思議だったので、ちょっと安心できました。どの作品も問答無用でお勧め。こちらは肩の力が抜けているので、気楽にどうぞ。
以上、後半はあからさまな商品紹介記事なんですけれども、当サイトは年間6万円程度のアフィリエイト収入があります。というわけで、ちょっとやそっとではコケない強いサーバをレンタルしています。とはいえ、そもそも自腹を切って買った本のレビューが収入源なので、どこまでいっても大赤字。趣味の世界ですね。ともあれ1年余りで2000円の収入にしかなっていない柊さんは何か戦略を間違っていると思う。