趣味Web 小説 2005-08-29

駒大苫小牧体罰事件の実相とやりきれなさ

今夏の高校野球大会で57年ぶりの夏季連覇を果たした駒大苫小牧。「好事魔多し」の言葉通り、大会直後に公になった27歳の部長(注:多くの運動部では伝統的に監督>部長>コーチ>部員という体制を採用しており部長は組織のナンバー2にあたる)による部員に対する過剰体罰事件が耳目を集めることに。幸い、日本高校野球連盟は27日に大阪市西区の中沢佐伯記念野球会館で臨時審議委員会と大会運営委員会を開き、優勝は認め、部長は有期謹慎、野球部は警告とする処分を決定した。

指導者の不祥事への対処としては前例通りの判断となったけれども、今年は生徒間暴力事件の発覚により明徳義塾高校が大会直前に出場辞退となったため、たいへん騒がれた。大会参加者資格規定に、責任教師や監督の不祥事に対する具体的な処分規定が記されていないことがこのような不安を招いたので、罰則の明文化を求める機運が高まっているとのこと。

……という話は私の興味の外であって、気になったは以下の件。

そうそう、体罰はされる側に原因があるし、いじめはいじめられる側、キモメンはキモがられるほうに責任が!というコメントがブックマークにたくさん寄せられているのだけれども、例えばスポーツ報知による以下の報道はご存知だろうか。25日付なので、殴った回数について当初の「3~4発」から「10回程度」へ「訂正」する見解を学校側が発表した後に出てきた記事だということにも注意。

学校側は暴力の現場にいた主力選手7人から事情聴取した。その結果「2、3発平手で叩いたら(被害生徒が)反抗的に部長に詰め寄った。30~40発なんて絶対に殴っていない」と話し、今月7日のスリッパ殴打事件についても「(被害生徒は)注意された後、ポケットに手を突っ込み、ニヤニヤした態度を取っていた」など、部長に同情的な証言が相次いだという。

学校側のいうことなんて信じない、という意見はありうるし、なんであれ体罰は全部ダメという意見もあっていい。ただ私は、被害生徒の父親の話より、この報道の方に強く真実味を感じた。そして、事件の実相が、この簡単な記事の中によく表れていると思った。体罰も程度と事由次第と考えていることもあって、こうした現場の証言を読むと、単純に「部長が悪かった」とする意見には、素直に賛同しがたいものがある。(参考:事件関連の主要ブログ記事リンク集

ところで、27日の西武-楽天 戦で、西武の西口文也投手(32歳)が27人を完璧に抑えたのに、延長10回の先頭打者、28人目の沖原に右前安打を浴びたニュースは興味深かった。延長のためノーヒットノーランが破れたのは9試合あるが、完全試合が消えたのは今回が初めて。2002年にも9回2死までノーヒットノーランを続けながら28人目にヒットを打たれた西口ならではの大記録。9回を零封した楽天・一場の力投も立派で、素晴らしい投手戦だった。

試合は延長10回、西武が一場に代わった福盛を打ち崩し1点を入れてサヨナラ勝ち。延長戦の1安打完封勝利は1970年7月31日の巨人戦で11回を投げた江夏豊(阪神)以来となる。ちなみに江夏は1973年8月30日の中日戦で延長を制してノーヒットノーランを達成し、不滅の大記録となっている。なお完全試合投手は過去16人おり、1994年5月18日の槙原寛己(巨人)が最後。(参考:西口文也、あわや完全試合

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