趣味Web 小説 2005-09-07

NTT の政府保有株売却終了、総額14兆4800億円

昨日、政府保有の NTT 株のうち、法で保有が義務付けられている全株式の3分の1(520万株/33.7%)を超える分が売却され、政府の NTT 株売却が終了しました。上記リンク先の記事は、NTT の淡々としたニュースリリースです。今回の売却株数は112万株、売却額は約5424億円に上ります。

政府の保有株売却は1986年に始まり、今回で11回目。計1040万株を売却し、総額14兆4800億円が国庫に納められました。

なんだかんだ郵政民営化に反対している人も結局、民営化の根幹(銀行と保険業を政府が保有しない)というところがスルーだしな。ってか、問題を財政再建とかデフレとかのマターにしすぎ。自由主義国というものがどういう社会制度であるべきが重要なのに。

なるほど、とは思うけれど、理念で戦えば価値観の洗脳合戦になります。すると「別に私は気にしないし、頑張って民営化しなくていいよ」が勝ってしまう。問題を財政再建とかデフレとかのマターにするのは、とりあえず資本主義にはみな賛同しているらしいので、功利的説得に持ち込めば議論になるからです。逆にいうと、功利的説得ができない問題設定の仕方では「べき」「べきでない」の水掛け論にしかなりません。

私は「なぜ、郵政公社を民営化するべきなのか?」において、財政再建だけをテーマとして取り上げました。わかっている人が読めばすぐに気づかれる通り、郵政民営化にまつわる様々な論点のほとんどについて、何一つ答えていない。けれども、たった一つに論点を絞った、その判断には一定の自信がありました。私は非常に問題を矮小化しましたが、逆にこれだけは崩れない民営化の根拠となるだろう、と。

株式の売却益、数十兆円。数十とぼかしたのは、今後、インフレに転ずるかデフレが続くかわからないので。でもとにかく、無茶な変動なく経済が推移すれば、10兆円を超える金額の売却益が国庫に納められることは間違いない。郵政公社が公社のまま存続する限り、この収入はありません。ただ、NTT 株の売却終了は小さなニュースにしかならない。国の借金に対して焼け石に水でしかないから。それでも14兆4800億円が大きいか小さいかといったら、それは大きいですよ。

電電公社が民営化されて、公衆電話は減ったけれど新しいサービスがいろいろ始まり、電話料金が下がったついでに電話加入権が紙くずになり、国民は大きな利益を得つつも小さな我慢を強いられてきました。とにかく今も日本中で電話は通じているし、国の借金も少しだけ返済されました。単純に「だから郵政も民営化」というつもりはないけれど、参考にはしていいと思う。

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