8月に衆議院が解散されてからというもの、ちょっと経済に興味を持っていろいろ読んでいます。じつは読み始めたのは9月に入ってから、というのがいかにも私のペース。
社会科は小中高と一貫して私の得意科目。センター試験で選択した政経も93点取れた。じゃあ経済に明るいの? と問われると、困ってしまう。経済財政諮問会議のメンバーさえ低レベルな議論をしているのだそうですから、工学部に進学して新聞を読み続けているだけの私がレベル高いわけがない。
まずは入門書から、というわけで最初に読んだのが細野本の改訂版。3冊並べましたが、読んだのは「日本経済篇」のみ。初歩的な概念がわかりやすく解説されていて、助かりました。
次に郵政民営化関連の本を読もうと思って何冊かパラパラと。跡田直澄さんの本は面白かったので買って読了したんだけど、いろいろご批判が(2005年衆議院議員総選挙→与党が2/3到達)。でも政府に近い立場の人の考え方を知っておくのは悪いことじゃないと思うな。
続いて百家争鳴の経済論壇をざっと眺める入門書が読みたくなり、2冊を比較検討。「経済論戦の読み方」は平易で図版の多い解説が嬉しい。守備範囲が広く、安価で薄いのもよい。「エコノミスト・ミシュラン」は理論篇が対談集なのでお勉強向きでなく、何より紙面が見難い。よって前者を選択。状況整理はできたと思う。
そしていよいよメインディッシュ。安達誠司さんの「デフレは終わるのか」はリフレ派の主張を知りたいならぜひ読むべき、と方々で紹介されていた本。書店で開いてみると、誠実にデータを出し、不用意な断言を避けつつ慎重に論を進め、それでいて類書より簡潔かつわかりやすい感じ。これはぜひ読みたいと思いましたが、どうせ読むならきちんと読みたかった。だから手順を踏みました。その価値はあったと思います。
我ながら偉いのは、田中秀臣さんがワーストに挙げた「虚構の景気回復」も買ったこと。両極端を知っておきたい。水野和夫さんに印税が落ちるなんて許せない、という意見もどこかで目にしましたが、それはまあいいじゃないですか。で、今、水野本を読んでいるところ。
今回、私が参考にしたリストです。全部読むほど時間・関心がないので、数冊に絞り込む必要がありました。リフレ派一押しの「デフレは終わるのか」と、構造デフレ派一押しの「虚構の景気回復」は下手の横好きにも読みやすい解説スタイルで、扱う内容も幅広く、私の総花的な興味関心に合うので最有力候補としました。
「期待と不確実性の経済学」は小難しく、「日本の不平等」もデータ集として興味深いものの本文のレベルが高すぎる。「通貨燃ゆ」「中国経済革命最終章」「新・日本の経営」は各論なので優先順位が低い。「経済失政はなぜ繰り返すのか」は「デフレは終わるのか」と重なるので回避。「経済論戦の読み方」については前述。迷ったのは「日本経済を学ぶ」ですが、私は図表の少ない入門書は嫌いなので細野本からのスタートを選びました。
余談ですが、書店での扱いを見る限り、構造デフレ派では榊原英資さん、デフレ擁護論では長谷川慶太郎さんの本がよく売れている様子。榊原さんの本はデータ等の図版が少なく文字だらけなので回避、逆に長谷川さんの本はスカスカなので回避。例えば「100年デフレと日本の行方」は1ページに見出しが2つあり、全文改行。簡単に読了できるのが売りなんでしょうが、私は映画より時間当たりの値段が高い本は買いません。
いろいろ本を読んで、「結局、どう思ったか」という話はまた後日。