趣味Web 小説 2005-12-28

「反対論の検討」への回答

「主観的に不幸な人々」の少子化問題では個別具体的な指摘にはお応えしていなかったので……。

最初にお断りしておきますが、私は少子化対策に反対なのではなく、その費用対効果に懐疑的なのです。やればやるほど人々の不満が解消されるだろう、という意味では基本的には賛成なのです。ただ、「少子化対策」としてどうなのか、そして乏しい予算をやりくりする中で、他の何を削って大きな予算をつけるべきか、そのあたりが対立点なのではないでしょうか。

フィンランドは、90年代のはじめに不況に見舞われ、それ以降、これといった、子育て支援対策がなかったことが、出生率が増えない原因と思われます。

フィンランドと書いたのは、スウェーデンの間違いでした(→訂正済)。元の統計を見ても、フィンランドのデータはありません。

さてスウェーデンの育児休業制度は現在も世界トップクラスです。不景気のため他の支援策が後退したのかもしれませんが、残った制度もあるようですね。スウェーデンの事例は、出産促進策が一時的に奏功したかに見えたものの、実際には特定の世代が出産時期を前倒ししたに過ぎず、長期的には出生力が回復していないのではないか? という観点から注意を喚起されることが多いようです。つまり、大規模な支援策が志向された直後数年間の出生力上昇を「成功」と即断すべきでない、と。逆にいえば、90年代末に80年代よりも状況が悪化したこともまた一時的成功の一時的反動に過ぎないとも予想されるわけで、2010年頃までの推移には要注目でしょうね。

(イタリアは知らないですが)、ドイツは、90年代の中ごろから、男女同権法の施行、優生保護法の改正、税制や育児手当て、休暇制度の改正と、いくつかの政策が行なわれています。これらが、出生率の上昇につながったのでしょう。

ご指摘の政策メニューは政権与党が中道右派でも中道左派でも関係なく政治日程に乗る「規定路線」だったので、福祉政策に大きな変化はありませんと書きました。実際、メルケル首相もそれらの政策をひっくり返すことは考えていない様子。失業対策などは見直されるようですが……。ともあれ歴代政権の努力が実ったのであれば、それはよいことだと思います。

20年前(80年代)は、日本はなおさらですが、北欧でも、少子化のための対策は、まだほとんどありませんでした。それで状況が似ていた、というだけだと思います。

私は20年前の日本と現在の北欧の合計特殊出生率がほぼ同じだと指摘したのです。20年前の北欧については何もいっていません。

アメリカや北欧の状況が、結婚や出産が、いまだに女性への圧力になり、子どもを持つと、仕事をあきらめざるを得ない状況がある、日本の高学歴晩婚化の、反証になるというのは、まったくの見当違いだと思います。

私は高学歴化による価値変容説は誤りだと書いたのです。高学歴の女性が子どもをほしがらないわけじゃないよ、ということ。したがって、日本女性の高学歴化は出生力低下と関係しないといいたいのであって、意見対立は存在しません。

結局、このかたは、少子化対策は、どうするのがいいと、言うのでしょうか?

予算の都合がつき、企業が存続できる範囲内で、「いわゆる少子化対策」をやればいいのではないですか。しかしそれを巨大な社会的コストを支払って大規模に展開するだけの価値があるかというと、「さてどうでしょうね」と。

未婚や晩婚が原因だというのですが、それに「国家権力介入」とは、どういうことなのでしょうか? (ムッソリーニ・ファシストの、家族政策のようなものを、考えているのでしょうか? これだけでは、なんとも言えないですが。)

実現可能性のないジョーク、として具体的な提案をすれば「30歳までに恋愛結婚できなかったら強制的にお見合いを設定される。最大30人の中から必ず1人を選ばねばならない」「結婚後5年以内に子どもを産むか養子をとるかしないと税金が重くなる」など。念のために書けば、私は冗談が現実のものとなることを望みません。あまり効果がないとしても、「いわゆる少子化対策」の枠から出ない方がよいと思います。未婚・晩婚を解消できても、不幸になっては意味がないですから。

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