趣味Web 小説 2006-02-23

書けないなら、書かないという道もある

「書きたい」けど「書けない」という人がたくさんいて、だから文章読本のような記事に需要があるわけです。それはそれでけっこうなのですが、ウェブデザインのアドバイスなんかをやってみて、私がつくづく実感するのは、「別に書かなくたっていいよ」ということなんですよね。あれこれ悩んだり、愚痴ったり、そういった苦労体験自体が楽しい人以外は、何もわざわざ苦労して書く必要はない。

だから相談者に最初に確認すべきことは、「本当に書きたいの? 誰かに洗脳されているんじゃない? ブログなんか書かなくても幸せに暮らしてる人の方が多いよ?」ということなんじゃないか。私の領域に即していえば、「きれいなデザインをしたいって? そりゃご苦労様ですね。別にデザインが多少よくても悪くても、サイトの人気にはほとんど影響しないことをご存知ですか?」と説明することが一番大切なのだろう、と。

私が見てきた中では、最初から「こうしたい」という強い思いで始めたブログの多くは、大成せずに、自分の理想に届かずに、閉鎖されていきました。最初から完璧を求めたら何もできません。少しずつ、上手になっていけばいいじゃないですか。

ただ一つ、これだけは忘れないでください。

最初に持っていた 向上心 だけは。

私は、まなめさんの意見に賛同しない。最初に持っていた向上心が内発的なものなのか、それとも何となく周囲に流されて持たされていたものなのか、そのあたりをまず見極めた方がいい。本当はやりたくもないことのために、努力と根性の無間地獄へ突き進む人が少なくない。結局、そんなものは挫折への道でしかないわけで、さっさと降りた方がいい。

たいていの物事は、できないよりはできる方がいい。医者や弁護士になりたい人はたくさんいても、なれる人は少ない。真剣に何年間も努力を続ければ、希望を実現できた人は多いはずだ。だから、頑張れって? さて、どうでしょうね。医者や弁護士にならなくてもそれなりに幸せにやっていけるのだし、若い時期にサボる幸せとどちらが大切なのか。たいていの人は、後者を選んだ。私は、その判断は正しいと思う。

「小さなことからコツコツと」はつらい。最初から完璧を求めたら何もできません。というけれど、レンタルブログサービスが豊富なテンプレートを用意したのは、「最初から秀麗で個性的なブログを作りたい」という要望への回答だったわけです。コツコツと HTML や CSS やイラスト描画や画像加工の勉強をするなんて、大多数の人間にはつきあいきれない世界なんだよね。

旧来のさるさる日記や enpitsu について、そのデザインに難色を示して手を出さなかった人がたくさんいるわけなんだけど、そうして何年も「じゃあ書かなくていいや」でやってきた人は不幸だったんですかね。別に、書かなきゃ書かないで幸せだったでしょう。今、思うような文章が書けずに悩む人がいる。対策としては、コツコツ書いていくしかないんだって。「じゃあ書かなくていいや」で、いいんじゃないですか、やっぱり。

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