趣味Web 小説 2006-04-18

就職活動の思い出

私の勤務先に超高学歴の人はたいへん少ない。「東大生が面接に来たらどうします?」「試しに採ってみたいね」「面接が下手でも?」「関係ないよ。少なくともオイルショックで大企業から中企業とのボーダーラインに転落してからというもの、おそらく初めての志望者だもの。採ってみない手はない」「まあ、そりゃそうですよね」

私の採用もこんな感じではあって、書類を出した時点で半分、採用は決まっていたらしい。一次面接は身元確認程度のもの。二次(最終)面接の前に電話がかかってきて、「キミは***への配属を検討しているので、**さんが主に話すと思う。あと社長は**な人なので云々。とくにひどい失敗がなければ大丈夫なので頑張ってね」とのこと。あちこちでずいぶんたくさん落とされたが、通るときはこんなものか、と思った。

じつはこうした企業はあちこちにあって、大学の研究室の同輩の一人も、1月の院試に落ちて進退窮まったので先生に相談したところ、あっという間に地元企業への就職が決まった。私の出身大学は「県内」のトップクラス校に過ぎませんが、それでも「いやー、大卒の人が全然、就職を希望してくれないんでね、幹部候補がおらんのだわ」という会社では重宝される。

オークションで、2000円の値付けをしてもちっとも売れなかった商品が、1600円に値下げした途端に3時間で売れたりする。1800円でも売れたのでは……と悔しくも思うが、そこはわからない。私の就職活動もそんな感じで、通るところは楽勝、ダメなところは「惜しい」と思ってるのは本人だけ、みたいな。二次面接にも進めなかった会社も少なくなかった。ひとつだけボーダーラインで宙ぶらりんというケースがあったけれど、これは面談で口を滑らせた一言がまずかった事例なので、本来なら通っていたらしい。

ところで、私の勤務先では高校生も採用するし、短大生や偏差値40の大学生も採る。超有名企業では、低学歴の人の職場を子会社やグループ企業に移管しているのだろうけれど、東証一部上場の従業員が少ない会社では、いろんな人をまとめて採用している。だから、東証一部上場に絞っても、大学名で足切りなんて、僅かなエリート企業を除けば、そうそうやっていないだろうと思う。

ちなみに現在、私の配属先にいる20数人の中でもっとも偏差値の高い大学を出ているのが派遣の事務員さんだ、という話は以前書いたなあ。某都の西北大学卒。景気が順調に回復していったら、事務員さんもどこかに再就職されるのだろうか。以前の勤務先は気苦労が耐えないので退職して派遣登録したのだという。派遣も、勤務先次第では寿命が縮むそうだ。最初の派遣先がうちのような会社だったのはリハビリにはいいが、次が心配だ。要らぬお節介か。

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