趣味Web 小説 2006-05-29

中間情報産業への無理解

1.

2ch の書き込みを利用して誰かが儲けるのは許せない、という人々が VIP 系まとめサイトを攻撃中、だそうな。私は VIP 板のスレッドを直接に見たことがほとんどない。面白いところだけまとめたサイトを見る方が効率がいいので。というか、まとめサイトさえ基本的には見てなくて、はてなブックマークや迎賓館裏口で紹介されたものしか読んでない。

あまり理解されていないことだけれども、マスコミ報道の過半は情報の集約・整理・取捨選択によるもの。ウェブでは何かというと「一次情報に当たれ」といわれるし、私もそう書いてはきたのだけれども、現実問題、そんなことは不可能だというところに中間情報産業の存在意義がある。新聞のスクラップをまとめただけの雑誌とか、専門分野の世界にはたくさんあること、ご存知でしょうか? 興味・関心のある分野の特許公報を毎月まとめてオフィスへ配送するサービスなんてのもある。古い新聞記事くらい、図書館へ行けばタダで閲覧できますよね。特許公報なんてウェブで無料検索さえできる。

新聞のスクラップをまとめた雑誌は新聞社に著作権料を支払っているでしょうが、その新聞社が**研究所が無料で公開した**調査報告を記事にする際、お金を払うか? 当然、払いません。でもその新聞記事は有料で売られる。おかしい、と思います? 調査報告から面白そうな部分を抜き出して紹介する手間暇に対価を払ってもいいと私は考えますが、怒る人は怒るのかな。

2.

ここでは、日本の個人サイトとしてトップクラスのところでもアフィリエイト収入は月30万円程度ではないかと結論付けているのだけれども、その数字を2倍にしても3倍にしても、ウェブって本当に儲からない世界だな、と思う。紙媒体で1日10万部以上出るなら小新聞社として胸を張れる数字で、ビルだって建つのに。

id:rhizome さんのコメントのまネコの頃からっつーよりノリで全共闘に参加してた頃からワカモノは全然変わってないってことですよにけっこう同感。ま、当時もノンポリが真の多数派だったのだし。

それにしても、転載に怒っているサイトだけに、転載条件が厳しい。でも管理人が原本の書き込みをした人から転載の許可を得ているかというと……? ここでも明文化されたルールではなく多数派の空気が世界を動かしているわけです。

ところで、whois 情報はドメイン管理者に連絡を取ってネットワーク上の問題を解決するためのもの。検索エンジンに引っかかるような場所に情報を転載して、大勢が無目的に参照できるようにするのはおかしい。……と小倉秀夫さんが説明してもみな聞く耳を持たないようなので、落合洋司さんら他の弁護士の方も折を見て啓蒙活動をしていただけないかなあ。

もうひとつ、のまネコのときもそうだったけれど、いろんな人が怒っているので、その主張は一様じゃない。金儲けは批判の手段に過ぎず、VIPPER の悪口を書いたのがいけないんだとか、そういう人もいますな。だったら何なんだろね。悪口を書いていないのに攻撃されている人のことは見て見ぬふりのようですし。

私がいいたいのは「需要あるところに供給あり」といった話。VIPPER の不愉快は、わからないではない。ただね、「不愉快だから潰そうぜ」なんてのは、つまらないですよ。まんま自分に跳ね返ってくる。2ちゃんねる自体、中間情報産業という側面を持っていますし、大勢の我慢を前提に成り立っているわけで……。あー、お節介ですよね。恩着せがましくてすみません。

3.

アフィリエイトやってる VIP 系まとめサイトが全滅しても、どうってことないはず。金儲けが非難を集めるなら、アフィなしのまとめサイトが登場するだけ。「スレの杜」の時代に戻るわけ。あるいは、2ちゃんねる管理人の西村博之さんへ利益還元が行われる結末もありうる。映画版「痴漢男」は西村さんを企画段階から参加させた結果(?)書籍版の騒動は再現されませんでした。

痴漢男 電車男

映画版「痴漢男」は映画版「電車男」よりもリアルな感じ。「電車男」のようなヒネリ(気づかない人は気づかないと思います)もなく、素直な作りです。ただまあ、逆にいって「リアル」のどうしようもなさってのがまんま出ちゃってるので、万人受けするような作品ではないです。

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