趣味Web 小説 2006-06-06

逃げ切ったシノケン

6月4日のNNNドキュメントは耐震偽装事件で倒産した木村建設の元東京支店長、篠塚明さんの取材記録だった。元一級建築士、姉歯秀次さんによる最初の構造計算書偽装は木村案件ではなかったことも判明し、不十分なチェック体制のため個人の犯罪が放置されてきた構図がハッキリしてきた。篠塚さんしかし、恨み言をいわない。姉歯さんに仕事を依頼した私には責任があり、どんな罰も受ける、と。

捜査を通じて木村建設の粉飾決算が明らかとなった。検査を担当したイーホームズの架空増資も暴かれた。姉歯さんの名義貸しも出てきた。4月26日、木村建設元社長の木村盛好さん、篠塚さん、元専務森下三男さん、元常務橋本正博さん、イーホームズ社長の藤田東吾さん、元監査役の司法書士岸本光司さん、姉歯さん、姉歯さんから名義を借りた建築デザイナー秋葉三喜雄さんの8人が逮捕された。

マンション販売会社ヒューザーの小嶋進社長も5月17日に偽装発覚後に数軒を販売した詐欺容疑で逮捕されたが、そういえばヒューザーと一緒に国会へ社長が呼ばれた不動産会社シノケンはどうなったか?

ようするに、そういうことか、という感じがした。木村建設やヒューザーやイーホームズに自力で補償する能力があれば、姉歯さんはともかく、他の人々が逮捕されることはなかったのだろう。森田設計事務所の森田信秀社長と姉歯さんの妻という2人の自殺者を出した(他にもいるかもしれない)が、地震で倒壊したマンションやホテルはまだない。

検察って、ホント国民のいいなりなんだな、と思う。無論、犯罪の証拠もないのに起訴はできない。それが最後の歯止め。ところが国民の多数派は、その歯止めを「救い」ではなく「つまらない制約」とでも思っているらしい。

木村建設のコンサルタントなどをしていた総合経営研究所の内河健所長は不起訴となった。罪に問えるような行為が見当たらなかったということだ。そして、司法権力のふがいなさを嘆く声が、新聞にもテレビ報道にも充満している。会社の同僚は耐震偽装のニュース自体に無関心だったが。そんなものか。

ともあれ「法の下の平等」なんて、お題目でしかないらしい。しかし自分が恣意的な法運用のために苦しめられると「不当な扱い」に怒り狂う。そのくせ、「他人に厳しく自分に甘い人が大嫌い」ときている。鏡を見て自殺でもしろといいたいが、「隗よりはじめよ」といわれても困るので口をつぐむ他ない。

逆リンク!

Information

注意書き