趣味Web 小説 2006-06-15

「マルサの女」と福井総裁の利殖を批判する人々

多くの国民はこの間の超低金利策で利息が付かないことに不満を募らせている。結果的に年20%以上で回ったファンドに、日銀総裁が投資を続けていれば不信感を持つのは当然だ。

権力者が何かで儲けると、「きっと何か悪いことをしたに違いない」と考えるのが儲かっていない人々。何の証拠もなくたって、ルール違反でなくたって、こうした庶民の不信感は「正しい」ということか。VIPPER の嫌儲がどうのこうのなんてのは氷山の一角に過ぎない。VIPPER は世間的には少数派だったから彼らの「おかしさ」を指摘する人が何人もいたが、この社説を「おかしい」と思う人はどれだけいるだろう?

私は閣僚の資産公開だって無用と考えていて、こんなことを政治問題にしようとする方がおかしいという立場。政治問題になったからいけない、というのは今そこにある価値観・考え方をそのまま受け入れた場合の話で、私はその前提を否定する。自分が疑惑をぶつけられ、資産公開を求められるようなことはありえない、という確信に寄りかかって他人を責めている人々は醜い。

マルサの女

映画「マルサの女」では他人の脱税は許せないのに自分の脱税が摘発されると怒り狂う庶民様の生態が生々しく描かれていて面白い。しかし観客の大半は、物語の後半で金持ちが摘発されるシーンに快哉を上げて前半を忘れたろう。

マルサの女2

「マルサの女2」は全編が巨悪との戦い。しかし注意深く鑑賞すれば地上げに抵抗する側の微妙さも浮かび上がってくる。なぜ東京圏で職住隣接が実現されないのか。土地の有効利用が行われないのか。それは「金の問題じゃないんだよ!」と頑なになった人々が招いた当然の帰結であり、その心情に共感したこの社会が引き受けざるを得ないコストだった。

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