小見出しをご紹介。
- 言ってることとやってることは別
- 正解主義と「ま、いいか」
- 食を軽視する時代
- 余った時間、できる範囲の食事作り
- 作るかどうかは私の気分
- 子ども化する親たち
- 自己愛型情報収集とBSE問題
- 無駄なことはしない効率主義
- 自分ペースの「単一プログラム指向」
- 最悪想定、次悪の選択
非常に納得のできる調査結果。嘘偽りのない現実を捉えた内容、という印象を受けました。かくいう私は毎日きちんと(?)自炊していて、私の両親も素晴らしい食事を実家にいた22年間、欠かさず提供してくれたわけです。けれども周囲の人を見て、話をして、こういう現実があることはよく知っていた、そう思うのです。
このリポートではこれまでのマーケティングが前提にしてきた「常識」と、実際の家族や食卓の実像との大きな乖離
について詳細に述べられているのですが、どうして現在に至るも「常識」が全然揺るがないのか不思議に思う。その昔、教育技術法則化運動の成果物に触れたときも、リフレ派の主張を知ったときも、同じような衝撃を受けたものでした。
なぜ、よりよく現実を説明できる主張がいつまでも「異端」であり続けるのか、と。私たちは現実の中に生きているのに、口にする言葉は何故かフワフワと浮ついている。なぜなのか。まあ、その答えはこのリポートでも示されないわけですが……。
〈食DRIVE〉調査全体を通して言える最近の主婦の傾向は、アンケートやインタビューに回答する「言ってること(第1ステップ)」と、実際に生活場面で「やってること(第2ステップ)」の乖離が年々大きくなってきており、若い層ほどこの傾向は顕著になっていることだ。こうした「言ってること」と「やってること」の乖離が、〈食DRIVE〉調査という同一調査の中で、この3年間に3倍ぐらいになっている。
この調査もまた、「最近、急速に世界が劣化しつつある」という物語に乗っかってはいます。その点には異論というか、違和感があるわけですが、ともあれ一読の価値あり。ウェブの記事に興味をもたれた方は、書籍版である「変わる家族 変わる食卓―真実に破壊されるマーケティング常識」の方もぜひ。
「『変わる家族 変わる食卓』を書き終えて 岩村暢子氏」にある通り、調査と現実の乖離が真のテーマ。いわゆる食育問題自体にはさして関心・危機感のない方でも、興味深く読めるのではないかと。