趣味Web 小説 2006-10-19

常識と現実の差異を見つめる

小見出しをご紹介。

非常に納得のできる調査結果。嘘偽りのない現実を捉えた内容、という印象を受けました。かくいう私は毎日きちんと(?)自炊していて、私の両親も素晴らしい食事を実家にいた22年間、欠かさず提供してくれたわけです。けれども周囲の人を見て、話をして、こういう現実があることはよく知っていた、そう思うのです。

このリポートではこれまでのマーケティングが前提にしてきた「常識」と、実際の家族や食卓の実像との大きな乖離について詳細に述べられているのですが、どうして現在に至るも「常識」が全然揺るがないのか不思議に思う。その昔、教育技術法則化運動の成果物に触れたときも、リフレ派の主張を知ったときも、同じような衝撃を受けたものでした。

なぜ、よりよく現実を説明できる主張がいつまでも「異端」であり続けるのか、と。私たちは現実の中に生きているのに、口にする言葉は何故かフワフワと浮ついている。なぜなのか。まあ、その答えはこのリポートでも示されないわけですが……。

〈食DRIVE〉調査全体を通して言える最近の主婦の傾向は、アンケートやインタビューに回答する「言ってること(第1ステップ)」と、実際に生活場面で「やってること(第2ステップ)」の乖離が年々大きくなってきており、若い層ほどこの傾向は顕著になっていることだ。こうした「言ってること」と「やってること」の乖離が、〈食DRIVE〉調査という同一調査の中で、この3年間に3倍ぐらいになっている。

この調査もまた、「最近、急速に世界が劣化しつつある」という物語に乗っかってはいます。その点には異論というか、違和感があるわけですが、ともあれ一読の価値あり。ウェブの記事に興味をもたれた方は、書籍版である「変わる家族 変わる食卓―真実に破壊されるマーケティング常識」の方もぜひ。

『変わる家族 変わる食卓』を書き終えて 岩村暢子氏」にある通り、調査と現実の乖離が真のテーマ。いわゆる食育問題自体にはさして関心・危機感のない方でも、興味深く読めるのではないかと。

変わる家族 変わる食卓―真実に破壊されるマーケティング常識 “現代家族”の誕生―幻想系家族論の死

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