趣味Web 小説 2006-10-19

争点は事実ではなく、その解釈

Q:どうしてトップページ以外に無断リンクやブックマークしちゃいけないの?

A:「トップページ以外に無断リンクされること」を嫌がる人がコンテンツを閉じて、それらを利用できなくなってしまう事態を回避するため。

この考え方はよくわかる。私にとってリンクが生み出す利益よりも、リンク先が消えてしまうコスト(とリスクの積)の方が大きいと判断したときは、私もリンクしない。

ただ、この手の功利的判断って、なかなか難しいと思うんですよね。誰でも気付くし理解もできる利益や損失の他にも、目立たないところに大きな罠が潜んでいたりするわけです。また究極的には、何を重視するか、という価値判断の問題がありますよね。

2003年の記事からざっと読み返してみるに、無断リンクについて現在のスタンスが明瞭になったのは2005年頃らしい。リンクの自由を啓蒙する人々に謙虚さを欠く主張が目立つようになってきた、あるいは私がそうした人々の姿に気付いた。それで、嫌になっちゃったんですね、リンクの自由を説くのが。

リンクの自由が「常識」なら、もう啓蒙活動はいらないと思う。よほどインパクトの大きな何かが生じない限り、多数派はその地位に安住できるのだから。既に決着がついているなら、少数派はそっとしておけばいい。少なくとも、不安に駆られて攻撃的になる必要なんかどこにもない。

私は、無断リンク問題は価値観闘争であって、一方が他方を間違いなく論破できるというような話ではないと認識しています。けれども、id:SiroKuro さんにせよ UK さんにせよ、落ち着いた書き方をしつつも、そういった視点がない様子でしょう。論理的に無断リンクOKという以外の結論はありえない、といった感じ。

自分が「啓蒙」活動に勤しんでいた頃、相手の主張に反論したり、疑問に答えたり、対話の形式は成立させていたものの、自分が相手に説得される可能性だけは全く考えていなかった。誤解を恐れずに書けば、愚かなことでした。

最終段落のみ話題にします。

パーマネントリンクを持つウエブログや、はてなブックマークを使いまくったり複数のサイトを運営しているにもかかわらず「無断リンク禁止」「リンクは指定のページだけに」というのは幾らなんでも矛盾しすぎじゃないか?と思ってしまうのですが・・・

異論あり。

「ホームページ」だって個々のリソースに URI が与えられることに何ら違いはなかったし、トップページに最新記事を置き、過去ログ化されるのは月1回みたいなこと(→時間とともにコンテンツの URI が変わる)をしてたのは一部テキストサイトだけの文化。たいていのサイトは、最初から各記事に「パーマネントリンク」を与える方式で運営されていました。

またレンタルのリンク集作成CGIの代わりにはてなブックマークを使い、レンタル日記CGIの代わりにfc2ブログを使い、グッズ紹介のためにレンタル掲示板を改造するのではなく忍者ブログを使ったら、「複数のサイトを運営している」とみなされる? 掲示板やチャットやレンタル日記CGIならサイトの付属品だけど、ブログは単体で独立したものだ、という主張にどれほどの根拠がありますか。

そして「パーマネントリンク」や「複数ドメイン下のコンテンツからなるウェブサイト」といった指摘が、どうして「無断リンク禁止」や「リンクページの指定」と矛盾すると決め付けられるのでしょうか。事実認識を問題にするなら、ブログ以前から「パーマネントリンク」なんて珍しくもなかったのです。レンタル日記CGIだって本サイトとは別ドメインにあって、コンテンツ群として単独で成立していたのです。

id:ululun さんの吐露した「思い込み」が、突っ込まれるどころか多くの共感を集めるのはなぜか? それは id:ululun さんのブログ周辺において、それが「場を支配する多数派」の価値観に親和的だからです。

争われているのは事実じゃない。事実の解釈なのです。

多数派か少数派かは関係ない。論理的に正しいかどうかがポイント。

私は、Yokoさんの主張も論理的に正しいに違いないと思っています。ただし私や首領さんとは前提条件が違っているのだ、と。

論理的に正しいなら客観的に指摘できるはずだから「正しいに違いないと思っています」にはならないと思います。というnovtan さんのコメントには反論があります。上記リンク先に書いたとおり、相手の主張の論理を理解するためには、隠れ条件を知る必要があります。現時点では、私の手許にYokoさんの論理を代弁するだけの情報がありません。

もっとも、推測でよければ何でもできます。ただ、何度強調してもし足りないのですが、論理的に誤りがないことと、賛同できるかどうかは全くの別問題です。相手の価値観・世界観を受け入れられるかどうか、最終的に問題はそこに帰着するからです。

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