取材と休暇をかねて、アメリカに旅行してきた。インディアナポリス、シカゴ、ニューヨーク、ナイアガラとツアーしてきたんだけれども、ケータイに関して、とても気になることがあった。電車の中でのビジネスパーソン、自宅にいるティーネイジャー、街中を行き交う人たち、空港の旅行客、観光地での行動など、ついついケータイを観察するクセを発揮してしまったけれど、今回は割とショックを受けた。日本はケータイを利用するライフスタイルにおいて、アメリカに突き放されてしまったのではないか、ということである。
8月にこの記事を読んで以降、「本当か?」との思いをぬぐいきれずにいた。何せ数字がサッパリ出てこないのだ。たった600万人、ウェブ利用者の1割弱しか参加していない mixi を「いまどき常識でしょ」という人と同じような間違いを伝えている記事ではないか、そう思っていたのだった。
疑問に思ったことは一応、ググってみるのが流儀。しかし10本くらい記事を読んでダメなら保留状態へ移行し、その後は関心の網を張って情報が引っかかるのをジッと待つ。そうして4ヶ月、ついに所望のデータに出会うことができた。
世界最大市場の南北アメリカ。2005年は対前年比20.2%増の約2億5000万台だった。その半分以上は米国で販売された。
ブラジルの販売台数が増えたものの、まだ米国市場と1億台の差がある。カナダ、メキシコを含めると北アメリカで7割に達する。まだまだ南北の差は大きい。2006年の南北アメリカ全体の販売台数は同7.9%増の約2億7000万台の見通し。そのうち米国は、同7.5%増の1億4530万台。
世界最大の経済大国である米国の携帯電話機の平均販売単価は意外に低い。第3世代機の普及も進んでいない。
「第3世代よりも先にスマートフォンが普及する。スマートフォンの販売台数は、2006年でまだ500万台程度だが、確実に台数が増えている」(ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン シニアアナリスト 平岡卓朗氏)。
1億4530万台売れた携帯電話の内、500万台がスマートフォンなのだそうだ。割合にして3.4%である。
私は別に、日本の方が進んでいるとかそういったことをいいたいのではない。アメリカの若年層にスマートフォンが普及しているという話は本当か? そこが知りたかったのだ。
最後にもう1つ、彼女がPCからツールをSidekick 3に変えた後に起きた変化について1つ触れておこうと思う。今までPCばかり使っていて、ケータイは一応持っていたが、ほとんど使わなかった。しかしSidekick 3でネットコミュニケーションをすませるようになってから、逆にケータイの音声通話を使うようになったという。文字だけのコミュニケーションを音声通話付きの端末で交わすようになったら、通話が増えたというから、利用する端末の変化というのは面白い。
シャープ製のパーソナル用途に向いたスマートフォン Sidekick 3 を歓迎しているのは、ふつうの女の子じゃなさそうだ。(ちなみにビジネス用途でウケているスマートフォンが BlackBerry らしい)
アメリカ発のドラマや映画を見る限り、向こうの人はやたら音声コミュニケーションが好きなようだ。恋人同士だけでなく、家族とも友人とものべつまくなしに喋っている。アメリカでも多数派はケータイ族なのではないか。こうした補助線なしにスマートフォンの興隆を語るのは危なっかしい。
これは「広義のスマートフォン」のニュース。上で書いているのは W-ZERO3[es] のような端末の話。言葉の定義があやふやになってくると困るんだよなあ。