趣味Web 小説 2007-03-01

故人の気持ちと遺族の判断

佐々木丸美さんの本が復刊されたそうだ。復刊を拒んでいた作者が2005年に亡くなったためだという。遺書を残していなかったのだろうか。ちなみに曽野綾子さんは死後に著書を絶版にせよと遺言しているとエッセイに書かれていたが……。

じつは私は佐々木さんの著書を読んだことがない。松岡宮さんの CD に「佐々木丸美を読みながら」という曲があって、印象に残ったので読んでみようかと思ったが、近所の書店には1冊も見当たらないので「まあ、そのうちに」と棚上げしていたのだった。

車掌もひとりぼっち

このたびの復刊にはいろいろ思うところもないではないが、ひとまず遺族のご判断を尊重したい。

ところでフランス出身の著名な哲学者デリダが亡くなったのも2005年だった。いま遺族がカリフォルニア大学と遺稿集をめぐって係争中だという。

遺稿といっても講義のメモなど雑多な資料らしいが、大学は高待遇の見返りにそれらの譲渡契約を結んでいた。遺族の建前は死の前年に契約破棄を通告した故人の意思尊重だが、新聞記事にはフランス中心主義丸出しのコメントが採用されていた。

デリダの遺稿は世界の文化の中心地に保存されるべき、なのだそうだ。南カリフォルニアではご不満らしい。

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