趣味Web 小説 2007-04-23

派遣社員は同僚じゃないのか

解雇は行き過ぎ、という感想が目立つのはわかるけど、4月に採用されたばかりとのことだから、まだ仮採用期間だろうと思う。私の同期でも一人、本採用されなかった人がいる。まじめで有能だったが、健康に問題があったのだという。「冷たいな」と、そのときは思った。

入社2年目か3年目の出来事だったと思うけど、数年間の休職から復帰した人がいた。入社1年目に大リストラがあったが、希望退職を募るという方法だったから、退職を希望しなかったその人は会社に残ることができたわけだ。いったん本採用した人は、簡単には解雇できない。会社もたいへんだな、と思った。

いま、うちの職場の派遣さんが病気を抱えていて、休みがちになっている。職場全体で配慮して仕事量を減らし、じっと回復を待っている。幹部が一枚岩でこの方針を支えているから、みな派遣さんに優しい。けれども、それは「表向き」に過ぎなかった。

私と同期の同僚が一人、転職するので、先週末、若手中心に送別会が開かれた。「いやー、本当に残念だな。新しい職場でも健康に気をつけて活躍してね」と、みな心から彼の新しい道行を応援していた。これは彼のいないところでも同じで、さすがうちの会社の社員は人柄がいい、と感心した。

ところが、件の派遣さんの話題になるや、「派遣なのに、どうして人を代えないのか」いきなりガツンとやられた。「当人の手取りの給与は俺らより少ないかもしれないけど、会社が出しているお金は多いはず」20代の手取り月給は20万円を下回る。総支給額も30万円に満たない。でも派遣さんはずっと給与据え置きだよね?

いやいや、そんなレベルの話じゃない。この衝撃は、新人研修で中国の協力工場(平たくいえば下請工場)の労働条件を説明されたときに近い。

ゆっくり、ゆっくり状況を飲み込むにつれ、ふつふつと怒りが湧き上がってきた。病気の心配をする前に「あいつをクビにしろ」とは。「派遣だから」切っていい、と。同じ職場で働く仲間に、どうしてそう冷たくなれるのか。とはいうものの、和やかな送別会の席をぶち壊すだけの確信はない。

「あの……ぼくは、格差社会とか、嫌いですから」サーッと潮が引くように空気が冷め、派遣さん叩きの話題は唐突に終わった。

補記

中国工場の件、結局、5年間何もせず現在に至る。一社員の立場でどうこうできるものでもない、なんて言い訳だ。搾取の受益者がこんな日記で義憤を書くなど、あまりに偽善的。

昇進には興味ありません、といってクビにならない程度にグダグダ仕事をしている私のような人間は、受益者の地位に安住して、誰も助ける気がないのだと思う。能力主義志向の若手が幹部になる頃、私は進退窮まって人生を後悔するに違いない。そう予想しながらもなお、私は何もしない。何故だ?

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