趣味Web 小説 2007-07-15

見出しと木構造

HTML4 では見出しレベルは内容の重要度によって決めるという指針が示されているけれど、見出しの重要度が木構造をなすとまではいっていない。内田明さんの邦訳が上位とか下位といった表現を採用しているのが間違いだとは思わないが……。

A heading element briefly describes the topic of the section it introduces. Heading information may be used by user agents, for example, to construct a table of contents for a document automatically.

There are six levels of headings in HTML with H1 as the most important and H6 as the least. Visual browsers usually render more important headings in larger fonts than less important ones.

The following example shows how to use the DIV element to associate a heading with the document section that follows it. Doing so allows you to define a style for the section (color the background, set the font, etc.) with style sheets.

というわけで。

このような見出しの使い方は適切だろうか。

<h1>Operaの導入とカスタマイズ</h1>
<h2>Movable Typeのプラグインについて</h2>
<h3>はてなブックマークの使い方</h3>

少なくとも、不適切ではない。

新聞や雑誌のように、1ページの中に様々な話題を取り込むメディアは多々ある。各記事の見出しにはふつうレベル差が存在するが、とくに混乱を招いてはいない。石川さんの例示は、新聞の「IT情報コーナー」のマークアップ案として、じつに自然だと思う。

重要な記事の見出しを h1 とし、あまり重要でない記事の見出しを h3 とする。何の疑問がありますかね。見出しを重要度から木構造として解釈しても意味が通るようにする、という自主規制には反対しませんが、HTML の仕様はここでもやはり、現実に柔軟に対応できるものとなっているわけですね。

一方、要素の入れ子関係が木構造に対応することは CSS の仕様からも明確なので、見出しと見出しの意味上の包摂関係を木構造として明瞭にしたいなら、div か何かを使えばいい。今後も HTML の仕様は可能な限り多様な文書をマークアップできるよう工夫されたものであってほしい。

余談

HTML4 の仕様書は、note として、デフォルトスタイルとしては見出し要素に章節番号を付加しないと規定している(ように読める)のは面白い。UA の機能や CSS なら OK ともいう、この懐の深さ。

見出しレベルが木構造を成している場合に、閲覧者の判断で UA に章節番号を付与させたり、製作者の判断でそうするのはかまわない。しかしデフォルトスタイルとして章節番号を付与することはない。なぜなら見出し群がそのレベルによって木構造を成しているとは限らないからだ。

もしこれが逆で、デフォルトで章節番号付与、嫌なら番号を外す機能を UA は提供するよ、という仕様だったら……。見出しレベルを木構造を意識して用いる人が多数派となったことは間違いないけれど、HTML が現在のような人気を得ることはありえなかったろう

HTML does not itself cause section numbers to be generated from headings. This facility may be offered by user agents, however. Soon, style sheet languages such as CSS will allow authors to control the generation of section numbers (handy for forward references in printed documents, as in "See section 7.2").

この note 部分のマークアップは、けっこう衝撃的かもしれない。仕様書が堂々とこんなマークアップで公開されていること自体、HTML の「今そこにある需要」に柔軟に対処しようとする姿勢を如実に現すものではなかろうか。「ストリクター」の理想、仕様書の現実。

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