10数年ぶりにビデオゲーム(死語?)をやってみようかな、と。昨秋以降、やたらテレビ番組を見るようになった。その中で繰り返しCMを見るうちにDS版「ドラゴンクエストIV」をやりたくなった。
その昔、1日30分という時間制限があって、ファミコン版の初代「ドラゴンクエスト」をとうとうマトモにクリアできなかったことを思い出す。
弟が怒って泣いてわめいてドタバタの挙句にようやく買ってもらったファミリーコンピュータ(ファミコン)だけど、どうも私にアクションゲームは向いていなくて、ワープ技を使わずに「スーパーマリオブラザーズ」の3面から先へ進むことはどうしても不可能だった。
弟に無限1upで失敗箇所からのやり直し回数(当時これを「キ」と呼んでいた。なぜ「キ」なのか、私にはわからなかった。戦闘機を操って敵機を打ち落とすシューティングゲームの用語が援用されたものだろう、と今は思う)をすごく増やしてもらった状態で引き継いだが、大ジャンプも水中で敵を避けるのもダメ。
30分間、ひたすら失敗し続け、なんだかすごくゲーム嫌いになってしまった感じがする。
同じ理由で「忍者ハットリくん」もダメだった。マリオはそれでも2-4までは自力でも何とか3キ維持で進むことができたけれど、ハットリくんは最初から難しかった。上達の実感があったのは最初のうちだけ。すぐ頭打ち。やる気をなくした。こちらは弟も散々苦戦し、3年経っても30分制限のもとではクリアできなかった。
兄弟に買ってあげたゲーム機が、事実上、弟の専用機になってしまったのが可愛そうになったか、誕生日に両親が買ってくれたのが「ドラゴンクエスト」(以降「DQ1」)だった。既に第3作が発売されているのに、よりによって、という感じはする。たしかに反射神経は必要ないのだが、別の問題がいろいろあった。
あまり知らない人が多いと思うけど、DQ1では現実に似て洞窟の様子は主人公の周囲しか見えず、しかも明かり(たいまつの火)が消えると暗闇になってしまう。右には壁がある、左にはない、といったことを一歩進むごとに自分でマッピングしていかないと、あっという間に迷子になってしまうのだ。
歩行者視点で展開する3D型(と私の周囲では呼ばれていた)のRPGなら当たり前のことなんだけど、これにはひとつ難点がある。それは、洞窟を進むのに時間がかかりまくること。
DQ1のセーブポイントは出発地点の城のみ。そこでしか復活の呪文を聞けず、ゲームを中断するためには、必ず出発地点まで戻らねばならない。30分以内に世界の端まで歩いて移動し、キメラの翼でとんぼ返り。ゲーム開始後しばらくは、キメラの翼を買うお金を稼ぐのがかなりキツかった。
で、私と弟がバトンタッチでプレーすることになった。おかげでDQ1のエンディングを見ることには何とか成功したんだけど、じつはどんなお話だったのか、よくわからない。だいたい私はダンジョンマップの作成だのレベル上げだの武器を買うためのお金稼ぎだの、そんなことばかりしていたような気がする。
ファミコン版「ドラゴンクエストIII」や「同IV」は、私がまともに最初から最後まで遊ぶことができた数少ないタイトルであり、とても印象深い。もっとも、どうしても30分ではゲームを中断可能な状態に至らず、弟に後を任せた場面は多々ある。まあそれでも、面白かったなあ、という記憶はあるのだった。
ファミコン版「ファイナルファンタジーIII」(以降「FF3」)は、弟がどんなに苦心惨憺してもとうとうクリアできなかったのみならず、そもそもバトンタッチプレーの必要な状況が多すぎて、何が何だかわからなかった。隠し通路がどうとかも含めて理不尽なゲームという印象が強く、あまりいい思い出がない。
私は学校では基本的に「ゲームやらない人」というキャラを通していた。あの会話に参加しても、その道のカーストの底辺に組み込まれるだけで、ちっとも面白くないよな……今の言葉で書けば、そういう感覚だった。で、FF3を進めるには、図書館で借りたゲーム雑誌の攻略情報を読まないと、どうにもならなかった。
弟はその後、さらに母との戦いを続けてスーパーファミコンをゲットし、そしてプレイステーションへ進み、いつの間にか「ゲームは1日2時間まで」になっていた。何だかんだで年に2~4本ずつゲーム体験を増やしていったのではないか。
私はというと、高々1週間で最初から最後まで物語を堪能できる小説を好むようになっていき、フェードアウトしていった。
ときどき弟は母との戦いで不利になるらしくて、セーブデータやメモリーカードの「枠」が余っているから、お兄ちゃんもやったらどうか、と勧めてくれたりした。「お兄ちゃんもゲームしたいといっている」ことにしたいらしいんだよね。
でもなかなかねえ……。アクション、レース、格闘は相変らず苦手で続かない。RPGも戦闘が面倒に思えてくるといけないね。ダンジョンに迷うのも飽きて、攻略本を読みつつ進めたんだけど、「FF5」「FF6」はラストまで見たが、PSのゲームは全部途中で投げている。
シミュレーションゲームというのもやってみた。「スーパーロボット大戦」とか。だけど、私はこれも苦手。私は囲碁がサッパリわからず、麻雀もルールが頭に入らない。将棋、オセロ、5目並べ、みな弱い。過去に一度でも本気で戦略を考えたことがあるような人には、手も足も出ない。だから戦略ゲームもダメ。
スパロボを投げたときのことは、よく覚えている。あるとき、何となく気分でセーブしてゲームを中断した。状況劣勢で、こりゃいかんわ、とか思ってたんだけど、深く考えず。で、再開するたび、そこからはじめるわけでしょ。何回やっても、負けてしまう。無情にもゲームオーバー。
そこまで進むのに20時間くらいかかっていた。当時は1日1時間制限だったから、1ヶ月くらい、チマチマ進めてたんじゃないか。で、妙に怒りがこみ上げてきた。わざわざこんな思いをしてまでゲームをやることはない、とハッキリ思った。
なんかこうして書いてみると、いったい何が面白くてゲームをやっていたのかわからない。わからないが、またCMごときで心が揺れるのだから、「それでも好きだった」のだろう。なんなんだろうね、これ。
面白かった。……けど、何が面白かったんだか、説明不可能。
正直なところ、戦闘の類は、なんとなーく面倒くさい。可能な限りAI任せにしてるんだけど。ザコ敵との戦闘なんか、しないで済めばそれが一番いいような気もする。ボス戦も、何も考えずに戦っても、多少の危険がありつつも結局は勝てる、くらいがいい。負けると相当、イラッとくる。
でも面倒くさいところをみな落としてしまったとすると、簡単なお話をひたすら長い時間をかけて読んでいくだけ、になってしまうわけであり、テレビドラマも1.1~1.7倍速で再生しているせっかちが、どうしてゲームに満足しているのか、ちっともわからないということになる。
じつは「DQ4」が面白かったので、立て続けに「FF1」「FF2」「FF4」「青の天外」「TOT」もやってみた(やり過ぎ)。ちなみに「DQ4」以外は全て未経験の作品。ただし前述の通り昔は図書館でゲーム雑誌を読んでいたので、FFシリーズは耳年増というか目年増みたいな状態。だから最初の感想は「懐かしい!」でした。
それにしても、定時帰宅の会社員って小学生より暇なのかも。「DQ4」と「FF2」は2周してるし、「FF4」や「TOT」もやたら長大なオマケの迷宮を全部歩いてる。1ヵ月半でこのペースは、いくらなんでも。(2008-02-19)