趣味Web 小説 2008-03-24

血のアイデンティティー

私の両親は愛知出身だが、同和問題はピンとこない、という。遠戚に同和地区出身者がいて、別にその人(明治生まれの世代です)が結婚して嫁入りする際、反対されるということは全くなく、子どもが差別されることもなかったという。

その人は「出自なんか、どうでもいいこと」で「このさき1/2、1/4でしかなくなる」のだから、被差別部落の子孫で(も)あることは、とくに子どもに伝えていくつもりはない、と考えた。なので、私と同世代の遠戚たちは「何も知らない」のだそうだ。

北へ移住してアイヌ系の人と結婚した遠戚もいる。ハーフでもクオーターでもなく1/16だったとか。それでも自称アイヌ系。それが半世紀前の話で、私の同世代となると、やっぱりもう「何も知らない」。

私は4代遡っても愛知人しかいない、生粋の愛知DNAの持ち主だが、千葉で育ったからか、愛知のニュースは他人事だ。名古屋嫁入り大騒動みたいなバラエティー番組を見ても、「ばっかじゃねーの」と第3者視点でゲラゲラ笑っていた。祖父母の家へ行くと、場違いな感じがする。魂の故郷! とか微塵も感じない。

親子の血のつながり、というのも、滅多に感じない。ときどき「やっぱり親子」と思うこともないではないが、よーく考えてみると、それは「血」の問題ではなく、長く一緒に暮らしたが故の「文化」の問題でしかないことがほとんどだ。それで説明できないものは「偶然」の範疇なんじゃないか。

とくに主張はありません。

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