趣味Web 小説 2008-05-23

財務省の教育改革案を読む

「議論に一石を投じた」という段階だそうだが、財務省が歳出削減の一環として、国立大学の学費を私立大学と同等にし、基準を超過した教員数を是正することで財源を捻出し、卓越した研究拠点への重点支援、高度人材育成、奨学金の拡充に回すことを、財政制度等審議会で提案したのだという。

これは2008年5月19日に開催された財政制度分科会財政構造改革部会での話。議事要旨が出るのは6月後半になりそうですが、会議の資料は今でも読めます。

教育関連の資料は全133ページの大作。スライド式ながら文字量は相当に多く、読み応えがあります。面白いので全部読むことを勧めますが、国立大学の学費に関する部分だけ読みたい人は、資料(4)~(7)を参照してください。

でもやっぱり最初から読んでほしいですね。というのは、資料を通して読むと、「投入量」重視の予算を改め、「成果」を軸に予算配分を見直したい、という大きな主張があって、その一環として高等教育の予算配分や、奨学金制度の見直しをしたい、と各論を述べていることがよくわかるのです。

例えば、人口1000人あたりの大学教員数を見ると、日本はドイツと並んで主要先進国トップクラス。アメリカの1.37倍、フランスの3.25倍もいる。教員一人当たり学生数も日本は11人、アメリカは15.7人、フランスは17.3人という具合。

政府・民間を合わせた研究開発費のGDP比は主要先進国の中でダントツ。政府支出のみを見ても高水準。国防研究費を含めればアメリカに負けるが、ドイツ、フランス、イギリスを上回る。人口一万人あたりの研究者数の推移を見ると、これも主要先進国随一。日本政府の科学技術振興費は20年で3倍増。

つまり「投入量」は多い。

では「成果」はどうか。ノーベル賞受賞者は少なく、世界大学ランキングなどでも日本は存在感がない。

そこで、中央教育審議会が2005年1月28日に出した「我が国の高等教育の将来像(答申)」に基づき大学を機能別に分化し、合理化、予算配分の重点化を行うべきではないか、と話をつなげている。

具体的には、国立大学法人評価委員会の機能を改善・強化し、予算編成プロセスに反映できるようにしていく。さらに政策・戦略における科学技術の位置付けを明確化し、科学技術振興と各府省所管分野の政策推進を一体的に行うことを目指す。

問題は、何を無駄とみなし、予算を削減して、「重点配分」の財源を捻出すればよいのか。

この点について、資料は多くを語らない。趣旨を逸脱した奨学金の利用実態があること(受給者家庭の44%に平均収入(700万円程度)以上の所得がある/奨学金受給者は非奨学生よりも海外旅行・電話代・食費・運転免許の支出が多く、勉学費・書籍購入費への支出が少ない)、大学教員の多さ、などを指摘するくらい。

まあ学費云々は「試論、未定稿」とされたページに記載されているもので、まず議論をしませんか、ということ。財務省の言い分を知るくらいの余裕はもっていいはずだと思う。

個人的に興味深かったのは、財務省の本領発揮という感じの資料(2)(3)(7)です。予算をもっとほしいという文部科学省への反論。「昔は良かった」論は教育分野にも蔓延っているわけですが、数字を挙げてビシバシ反撃している。そういうのが好きな人は、「そうだ! もっとやれ!」と楽しめるのではないか。

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