私の周りにも日本の財政破綻を心配している人がいます。あまり積極的に説明する気力もないのだけれど、話を振られたら、ポツポツ自分の意見は話しています。ちょうど人力検索に質問が出ていたので、簡単に。
「GDPがマイナスになる」という前提で「破綻しない」とする意見は目にしたことがありません。「日本の財政は破綻しない」とする経済学者は大勢いますが、その前提は「人口は減少するがGDPは増大する」です。
東欧にはロシアやハンガリーをはじめ、人口減少が何年も続き反転の兆しがない状況にもかかわらず、GDPの増大が続いている国家がたくさんあります。日本の人口は将来的にも年率1%以下の減少ペースです。一方、OECD平均のGDP成長率は2.5%程度です。OECD加盟国の人口は年1%くらいずつ増えているので、人口増の影響を引き、さらに日本の人口減少を加味して、つまり2%引いても、まだプラスです。
近年の日本のGDPも平均で1%を超える実質成長となっており、1%削っても平均すればプラスになります。
さて、日本の税収には、名目GDPが増大するとき、名目GDPより高い割合で増加する特徴があります(逆も同様)。したがって、支出の増大をGDPの成長と同程度に抑制できるならば、税収の伸びが支出の伸びを上回ります。
しかし近年の日本では名目GDPがマイナスに陥り、税収が減ることが珍しくありません。デフレが続いているためです。これは日本だけの現象です。他の全ての先進国と同じように1~3%程度の緩やかなインフレさえ実現できるならば、名目GDPは人口減少下でも安定してプラスを維持できます。
前置きが長くなりましたが、緩やかなインフレを実現し、名目GDPの成長を維持できるなら、増税せずとも日本の財政は破綻しません。詳細は下記リンク先の試算結果をご覧ください。
以上を踏まえて。
自民党だけでなく、民主党も補正予算で国債を発行すること自体には反対していません。2008年は実質GDPもマイナス成長でした。こんな状態が何年も続くと日本の財政は本当に悲惨な状況となります。財政による景気下支えの意図は、とりあえずGDPの実質成長をプラスにしよう、ということです。
ただ、日本の場合、今年もデフレが続きそうです。諸外国では実質成長がゼロでも名目GDPはインフレ率の分だけプラスになるのに、日本は条件が悪いのですね。
たいていの先進国では財政赤字が当たり前になっていますが、日本だけがデフレから脱せず、GDP比の財政赤字が膨らむ結果となりました。平均では最低限の実質成長率を確保できているので、緩やかなインフレにより名目GDPを確実にプラスに保つことが何より大切です。
ちなみに石油価格高騰で2008中頃の消費者物価は+2.4%まで進みました。大騒ぎになり福田内閣の支持率が急落しましたね。「緩やか」といっても財政破綻を防ぐためには1~3%のインフレ率が必要です。諸外国のインフレ率は1~3%ですし、日本でも1980年代までは同様でしたが、21世紀の日本では許されないインフレ率かもしれません。
日本国民がインフレを許さないなら、日本銀行が大胆な金融緩和に踏み出すことはなく、日本のデフレは続き、名目GDPは増えず、いずれ大増税か財政破綻を迎えます。財政破綻の可能性は低くないと私は思います。
うーん、自分のいいたいことを優先して、質問文に正対していないな、この回答は……。