趣味Web 小説 2009-03-19

日銀が毎月の国債買切り額を1.8兆円に増額したが……

日銀の毎月の国債買切り額が1.8兆円に増額されたという。2008年11月までは1.2兆円で、同12月から1.4兆円になったばかりだから、私はこれほどの対応を予想していなかった。政府紙幣で怪気炎を上げる与党の脅しが効いたのかもしれない。

月額1.2兆円と比較すれば、年間で7.2兆円の増額。事務経費を含めた定額給付金関連支出の約3倍の規模だ。政府紙幣を発行するより日銀券を増やす方が、無用の混乱を招かず、望ましい。方向性としては歓迎。

ただ、現下の日本経済は供給力が需要を30兆円以上超過しているという。2007年の名目GDPが515兆円で、2008年10~12月の名目GDPが年率換算で前年比-6.6%(1次速報値)の急落という報道があった。これが1年ずっと続くと、ごく大雑把な計算だけど 515×0.066=34 で34兆円もGDPが減ってしまう。

生産力は毀損していないので、単純には、インフレなしに30兆円分以上も消費を増やす余地がある。国民1人当たり、ざっと25万円。すごい金額だ。

こうしてみると、7.2兆円では不足ではないか。30兆円の政府紙幣を発行してもなお不足というくらいの話だから、月額3~4兆円くらい国債を買ってくれたらいいと思う。巨額の国債買切りにインフレ対応の懸念があるなら、最低1年は保有するが、その先は売却もありうる、みたいな話でもいいのではないか。

あ、記者会見の要旨が出てる。

今回の長期国債買入れの増額は、年度明け後も金融市場の安定を確保するために、引き続き積極的な資金供給を行っていくことが重要との判断の下、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行っていくことを目的としたものです。

いつも通りの説明で、というか、いつも通り、説明になってない。円滑な金融調節に反対する人はいない。問題は、1.8兆円に増額した具体的根拠は何なのか、ということだ。いろいろ補足説明があるけれども、「不景気で内需が弱まっているので増額した。1.8兆円という数字に具体的な根拠はない」ということのようだ。

1.8兆円が多いといいたいのではない。逆。少ない。が、日銀はやはり慎重だ。

(問) (前略)長期国債の残高については日本銀行券の発行残高を上限にするという、いわゆる銀行券ルールの限界に近いところまできていると思われますが、この辺りの認識をお聞かせ下さい。また、仮に今後さらに買入れ額の増額を求められるようなことになった場合、この銀行券ルールの見直しについて検討する可能性があるのかどうかについてもお聞かせ下さい。

(答) (前略)足許の銀行券と足許の長期国債の関係はもちろん重要ですが、それ以上に重要なことは、この先その両方がどのような形で推移するかという見通しです。将来の銀行券の姿、将来の長期国債の姿を展望しないと、例えば今期、国債買入れを大幅に増額したけれども来期は逆にそれを売ることになりかねません。そうしますと、今度は市場に対して撹乱的な影響を与えてしまうことになります。単純に計算すればすぐにわかりますが、今回増額したペース、すなわち年間21.6 兆円の規模で長期国債の買入れを毎年行っていくと、長期国債の保有残高は数年間のうちに銀行券発行高という上限に近接していく可能性が高いと推定されます。もちろん、こうした見通しは先行きの銀行券の伸びやオペで入ってくる国債の期間構成にも左右されるため不確実性は残りますが、さすがにここまで買入れ金額を増額させると追加的な買入れ余地は自ずとかなり限定されるとみられます。

次に、銀行券ルールを見直す可能性はあるかということについてですが、銀行券ルールを見直すことは全く考えておりません。銀行券ルールの意義としては2つ挙げられます。第1は、円滑な金融市場調節を確保することで、これは先程申し上げたことです。第2は、銀行券ルールは、長期国債の買入れが国債価格の買い支えや財政ファイナンスを目的とするものではないという趣旨を明確にするという役割も果たしています。従って、銀行券ルールを見直すという考えはありません。

素人の感想だが、これまた、何の説明にもなっていない、と思う。

中央銀行があまり膨大な国債を一挙に売買すると、円滑な金融市場調節が難しくなる……それはそうかもしれない。でも、その適切な水準が「銀行券ルール」だという証拠がどこにあるのか。経験則でいい。証拠がほしい。切実にほしい。多分、そんなものはないんだと私は思う。

長期国債の買入れの意義を誤解させない……それも理解はできる。できるが、別にそんなの、「発行銀行券の2倍を上限とする」みたいなルールだっていいわけじゃない。なんで1倍なのか。その根拠の示されない制約のせいで、必要な金融緩和ができずにいるんじゃないのか。

何の根拠も示さず自縄自縛の醜態を晒してデフレも円高も放置してさ、失業者がどんなに増えてもそれでもその「銀行券ルール」を盾にして過少な金融緩和しかしてくれないのか。納得できない。

一般国民にアンケートをとったら利上げ支持の方が多いのかもしれないが、それでも正しいことを実行するための中央銀行の独立性だろう。責任と権限のある者がやるべきをやっていないという疑念を持ったままの状況で、私は職を失いたくない。

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