趣味Web 小説 2009-10-15

ダイソンの新型扇風機と報道

1.

いま話題の、レンズのない虫眼鏡のような形状の扇風機。私の知りたいことが書かれていない。いつまで経っても出てこないような気もする。

この扇風機は、軸にモーターとファンを仕込み、軸のスリットから吸気し、リング状の上部構造に設けられた円形のスリットから排気する仕組みになっている。この排気によってリングの表裏に気圧差が生じ、何もないリングの中央に空気の流れが生じる。

特徴
私の知りたいこと

見た目がおもしろいという以上のメリットは、正直あまりないと思う。330ドルという価格もすごい。

2.

個人的に、ダイソンの宣伝手法には疑問を感じている。例えば掃除機。ダイソンの掃除機は吸引力が落ちないことを売りにしているが、じつは最初から吸引力が低い。今回の扇風機の売り文句にも、消費者の誤解を誘う記述があり、不誠実だと思う。

Dysonの技術は流体力学を利用した独自の技術で空気の流れを15倍に増幅し、毎秒119ガロンの空気をスムーズに流すという。

15倍に増幅というあたりにピクッとくるのは私だけだろうか……。

世の中に「効率」が「100%を越える」家電はある。エアコン暖房とかね。あれは大気中の熱を集める仕事の効率を、自分で熱を作り出す場合と比較することで、「100%を越える」といっている。使用者にとっては部屋が暖まればそれでいいわけで、この比較は有意義だと思う。

しかしこれはどうだろう。この科学っぽい言葉遣いでもって消費者に何を訴えたいのか、サッパリわからない。もしこれで「高効率」のイメージを売り込もうとしているなら、首を傾げる。

ダイソンの扇風機と同じ原理で圧縮空気から大きな風量を得るノズル(工場などで使われている)などの場合、ふつうは風量の倍率をいう。直感的な説明をすれば、圧力を風量に変換するわけだ。元の圧力が高く、ノズルの前後に流れを邪魔するものがなければ、風量が50倍にもなるノズルが長年使用されている。

ようするに、ダイソンの15倍という数字だけでは、評価のしようがないわけだ。シンプルに「最終的に得られる風量・風速と消費電力の比」を比較してほしいところ。都合の悪いことは黙っておくのが広報なので、それは仕方ないのだが、報道にはプレスリリースの抜粋に加えて商品選択の参考になる情報を期待している。

……まあ、でも、価格が価格なので、どうせ私は買わないな。それは他の人も同じだろう。まじめに取材しても元が取れないよな、とは思う。

追記(2011-08-17)

やっぱりね……。

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