枯れたジャンルと思われがちだけど、大勢が毎日研究に勤しんでいるだけあって、ちゃんと技術革新が続いているんですね。この機会に私が意識的に選択している文房具を2つ紹介します。
生産終了。私がこれまでに唯一、箱買いしたペン。10本入りを2箱買ったと思う。
インクやペン先は、これといって特徴のない、ふつうのゲルインクボールペンです。JJ100-BKの個性は、その構造と形状の仕様にありました。
基本色の黒で、これらの条件を満たすものは他にない。ないのは当然だと思う。Jell-popで最初に消えたのが黒、赤、青の基本色で、その後、パステルカラーの12色セットが発売され、現在は「プチコロン」という香りつきインクのペンとなっています。簡単に説明しましょう。
Jell-popの構造は、まさにこうした大多数の消費者の要望に反していました。クリップなしの小さなキャップ、単軸構造らしい細身で凹凸のほとんどない丸軸、これらの特徴は、女の子がペンケースにたくさんのペンを入れて持ち歩く用途に最適化されたものです。
ちょっと使ってすぐしまいこむのだから、小さな隙間にスッと入り込むスタイルがよいのです。また、プチコロンのようなペンは、まず使い切らないものだし、仮に使い切ったとしても、他の色や商品を試すのがふつうでしょう。だからリフィル式にするより、単軸構造にして中のインクをきれいに見せる方がいい。
というわけで、基本色は「サラサラクリップ」(←前述の常用ペンに求められる構造・形状を全て満たしたペン)、マイナー色は「プチコロン」といった住み分けは、全く合理的だといえます。
ただ、私は、少数派の消費者なんです。小さな筆入れに、ゲルボールペン、油性ボールペン、油性サインペン、カッター、定規、修正液を入れて持ち歩くので、キャップのクリップは邪魔だし軸は細身がいい。ゴム嫌いの丸軸好きは私的なセンスの問題。
自分のような消費者が少ないことを私は理解したので、店頭からJJ100-BKが消えていくのを目の当たりにして、慌てて2箱買ったというわけ。このようなペンは、もう二度と手に入らないかも、と思ったんです。
会議中に個人的に参照する資料をどうしようか、ということを考えていまして。2穴の書類綴じはいろいろありますが、「綴じたまま水平に開いて書き込みができる、しかも薄い」のは、この商品だけかもしれない。
リングファイルは背中がどうしても分厚くなります。ふつうのファスナーファイルだと、水平に開けないし、ファスナーのストッパーがかなりの面積を無駄にしてしまう。クリアポケットに1枚ずつ書類を入れていくのは面倒だし、書き込みができない。さかさまにしたら書類が落っこちてしまうのもクリアファイルの欠点。
そんなこんなで、コクヨのファスナーファイルに辿り着きました。実用的には60枚くらいしか書類を綴じられないけれども、頻繁に閲覧・書き込みする書類は限られています。古いものは通常のバインダーに綴じていけばよく、これで不便を感じていません。
あと、水平まで開けるから、綴じ穴周辺まで情報が印刷されている困ったファイルでも大丈夫。ときどきあるじゃないですか、バインダーに綴じたままだと一番重要な数字が読めない書類というのが。
先に紹介したのは廉価版で、私が実際に使っているのはこっち。前述の通り、ファイルを溜め込むのに使う道具じゃないから、量は必要でない。ならば、多少の価格差はあっても気持ちよく使えて強度のあるものを選びたい、という判断です。