趣味Web 小説 2009-11-24

「パソコン」とChrome OS

1.

11月20日、GoogleがChrome OSを発表したそうだ。商品になるのは1年後くらいだという。

ハードウェアとセットで販売されるそうだから、実際に出てくる商品としては、Net Walkerをイメージすればいいのかもしれないな。パソコンというより、キーボード付のPDAみたいな。

SHARP Net Walker (ネットウォーカー) モバイルインターネットツール ブラック系 PC-Z1-B SHARP Net Walker (ネットウォーカー) モバイルインターネットツール ホワイト系 PC-Z1-W SHARP Net Walker (ネットウォーカー) モバイルインターネットツール レッド系 PC-Z1-R

2.

ふつうのパソコン用のOSとしては、正直ピンとこない。10年後のことはわからないけれど、私の人生を振り返る限りでは、意外とパソコンって10年経っても使われ方にあまり変化がない。とすると、パソコン市場でChrome OSが大ヒットするようには思えない。

中国でもインドでもアフガニスタンでも、PCに導入されているOSはWindowsなのだそうだ。みんなの使いたいソフトウェアがWindowsでしか動かないとなれば、お金が無ければ不正コピーを厭わずWindowsを使うことになる。中国のような管理社会では、いずれLinuxが普及すると思っていたのだが、現実は厳しい。

ネットブックが登場したとき、ギークはLinux搭載版を歓迎したけれど、市場を制したのはWindows版だった。消費者はネットブックを「安いパソコン」と位置付けた。またLinuxだとOSのサポートまでメーカーが担当するため、コスト面でも利益がなかったとか。Chrome OSではGoogleがOSのサポートをするだろうが……。

一般のユーザが使うパソコンにおいて「Windowsに勝つ」には、Windows互換という方向性しか手はないと思う。でも、こういう記事を思い起こすに、やっぱり難しいんだろうな。ReactOSはWindows XP互換という目標をなかなか実現できず、とうとうWindows7の発売に至ってしまった。

一般消費者向けの製品でLinuxが一番普及したのは携帯電話かな。Googleは携帯電話などのモバイル機器用にAndroidというOSを用意しているけれども、今わかっている情報からすると、Chrome OSはAndroidが使われる機器の頭を押さえるような製品ジャンルでしか、ヒットしないんじゃないかと思う。

ところで、中国政府がReactOSの派生版を開発支援するようなことはないのだろうか。

3.

パソコン売り場では、年賀状を作りたいならネットブックではなくノートパソコンを買うように、と勧められる。勧められるが、私の少ない知人の中でも数名が、年賀状をネットブックで作ろうとしている。動作が重くたって関係ないのだ。

簡単にいえば、じつは一般家庭においてパソコンはパーソナルな道具じゃなかったんだ。だから親の前でネットに接続したくない子どもなどは、親にねだってネットブックを買ってもらった。お小遣いでネットブックを買ったお父さんもいる。そうして自分専用のパソコンを持つと、全ての作業をそれでやりたくなる。

この思いは切実なので、(ネットブックにはCDドライブがなくドライバーCDは役に立たないから)プリンターのメーカーに電話して、サポートページを教えてもらってドライバーをダウンロードする、なんて手間をかけてまでネットブックで年賀状を作ろうとする。USB接続の光ディスクドライブを買った人もいる。

家族の共用パソコンが壊れたので「MS officeを必要とするわけじゃなし、これでいいだろ」とLinux PCを設置したんだけど、みんなから不満が噴出。結局、Windows PCを修理したり新しく買ったりした、という話はしばしば聞く。逆に家族がLinuxにすっかり満足したという話はネットでも滅多に見かけない。

もし一部の予想通り、数年後のネットブックがChrome OSに席巻されているとすれば、それは一般消費者がネットブックを「安いパソコン」ではない新たなジャンルの製品として認知し直すケースしかありえない。だが最近のトレンドはoffice付きネットブックなわけで……。

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