趣味Web 小説 2010-03-16

memo:コタツ

年々、コタツを出すのも、片付けるのも、遅くなる傾向にあった。冬物のコートも同じ。正月までコートなしで通したのに、サクラが散ってもコートを着ていたりして。私は現状維持バイアスが強く、合理的な判断ができないということがよくわかる。

今年度は一念発起して、冬になると同時にコタツとコートを用意して、春になると同時に両方片付けてしまった。途中、やたら寒い雪の日があって、その日だけは、まだクリーニングに出さずにおいたコートを着たけれど、コタツは使わなかった。翌日には暖かくなるのだから、さっさと布団に入って眠ればいいのだ。

コタツを片付けられないのって、HDD録画しかしないのにDVDやBDにも録画できる機種を買ってしまうのに似ていると思う。「この先、寒い日があるかもしれない」そりゃ、あるかもしれないよ、でもさ、という。

あるいは、いったん上がった生活水準が下がるのは許せない、という感覚にも通じていると思う。「面倒くさい」という程度の理由でコタツを出すのを渋っていた頃は、一時的に寒くなっても「ちょっと我慢すればいいや」と思っていたのに、いったんコタツ生活に慣れてしまうと、「また寒くなったらどうしよう」と不安でたまらない。片付けた数日後に寒くなると、「あーっ、もうちょっと待てばよかった!」なんてね。

いつだったか、5月連休に実家へ帰ったら、まだコタツがあって、たまげたことがあった。千葉県でそれはないでしょ、と。「でも、ときどき肌寒いから……」と母。無論、1週間の滞在中、一度もコタツが必要になることはなく。帰りがけに、私がお節介で片付けた。

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