趣味Web 小説 2010-03-25

こんなデジカメ、ノートPC、モニタがほしい!

部署ごと東京本社から栃木の工場へ移転する件に関して、「予算を確保したから、ついでにいろいろ買っていいよ」とのこと。それで家電量販店へ行ったのだけれども……。

デジカメ偏

「仕事用のデジカメを探しています。基本、静止画を撮るので、縦持ちのビデオカメラではなく、横持ちのデジカメがいいと思っています。ただですね、動画の保存形式としてMPEG-1を選択できないか、と」
「少々お待ちください」
「ネットワークに繋がっていないパソコンには今でもWindows2000が導入されていまして」
「Windows2000は先日、マイクロソフト社のサポートが終了いたしましたが……」
「ええ、承知しています。しかし社内LANにもつながっていませんからね。またメモリが256MBくらいしかなく、加工機とセットになった特殊なソフトウェアが入っているという事情もあって、XPへのアップグレードも難しいんです。で、そのパソコンで個人的な事務作業を全部賄っている方がいまして」
「それでも加工データはUSBメモリか何かで移動させたりすることがあるわけですよね」
「たしかに。フロッピーディスクでデータをやり取りしていまして、最近のパソコンにはドライブがないので難儀しております」
「えー、たいへん申し訳ありませんが、MPEG-1で動画を保存できるデジカメは当店の取扱商品の中にございません」
「きわめて残念ですね。WMV形式またはMPEG-1形式で動画を保存できれば、無加工でWindows2000添付のWindows Media Player 7でも再生できるんですがね……。これは決して極端な話ではなくて、弊社のオフィスで9割以上のPCに導入されているWindows XP付属のWMP9でも同じことなんですよ。標準で対応している動画形式にMotion JPEGやH.264は含まれていないんです。しかしいったい、みなさんはどうされているんですか?」
「といいますと?」
「こんなことでは仕事の役に立たないでしょう。情報の共有ができないじゃないですか。弊社のオフィスでは、約半数のPC用ディスプレイが未だに1024×768です。私は3D-CADの都合で、とくにお願いして1280×1024にしてもらいましたけど、HD動画なんて全く必要がない。動画サイトを見ていても思うのですが、高解像度のボケた映像より、低解像度のシャープな映像の方がずっといい。古いマシンでもサクサク再生できますしね」
「ええ、そうですね」
「だから実際問題、高解像度の動画が必要になった場面は皆無です。社内メールの添付ファイルサイズは20MBに制限されていることもあって、動画はMPEG-1形式とするのが一般的なんです。MPEG-1なら、動きの激しい動画でも20MBあれば5分以上になりますから、問題の起きた工程や実験の様子を撮影して、会議前に回覧するのに都合がいい。HD動画よりMPEG-1対応の方がずっと嬉しいですよ」
「お役に立てず申し訳ありません」
「こちらこそ、すみません。えーと、それではですね、デジカメに添付されたソフトで簡単に動画形式をMPEG-1に変換できる機種ってありますか? 私のパソコンも古くてですね、YouTubeのHD動画もコマ落ちになるんです。そういう古いパソコンでも、事務文書を作成している裏で、多少は時間がかかってもいいから、パソコンの動作をあまり遅くせずに動画を変換してくれるとありがたいのですが……」

店員さんは5分間くらい、他の店員さんに話を聞いたり、たくさんのカタログをババババッとチェックしたりして頑張ってくれたんだけれども、「わからない」とのこと。「お手数かけてすみません。どうもありがとうございました」といってカメラのフロアを後にしたのだけれど、グッタリ疲れました。

ノートパソコン編

「仕事用のノートパソコンを探しています。実験室用でしてね、データを取りながら、その場ですぐ実験結果をまとめて整理したいんですよ。あと最近の計測機器にはUSBでPCに接続して使うものが増えてきていますからね」
「機能としてはどのようなものをご希望でしょうか」
「正直、性能はネットブック並みでいいんですよ。メモリが256MBのWindows2000マシンでも全く不都合を感じることなく仕事できていますので。ただ問題は、映像の外部入力機能なんです」
「えっ、外部入力ですか!?」
「そうです。いま、モニターを必要としている計測器があって、ただそれだけのためにデスクトップPCを置いているんです。ノートブックで外部入力に対応しているものが社内にないので、2系統の入力が可能なモニターに、計測器とデスクトップPCを置いているんです。でもこれが本当に邪魔でしてね」
「申し訳ありませんがお客さま、安価なノートで外部入力に対応しているものはないかと」
「どうしてなんでしょうかね。仕事と関係なく、自宅でも、ノートパソコンに外部入力端子があればどんなにいいかと思っているんですよ。テレビとパソコン、両方とも机の上に置くともう邪魔でね」
「モニターをテレビにしまして、パソコンをデスクトップにされてはいかがでしょう?」
「解像度が不満なんですよ。テレビって画面の大きさの割に画素が少ない。四畳半の部屋のちゃぶ台に20型のテレビを置いて1440×900しか解像度がないとか、悲しすぎますよ。それに、ときどきブレーカーが落ちるので、バッテリーのないデスクトップパソコンは嫌なんですよ。いま10型のテレビと15型のノートパソコンを並べているんですけど、このテレビがなくなったらどんなにいいかと思うんですよ」
「そういうことでしたら、TVキャプチャという機器がございますが」
「ええ、でも遅延が相当ありますからね。テレビ番組を見ているだけならいいけれども……」
「たしかにゲーム機等の接続には向きませんね」
「結局、机の上が片付かないでしょう。ちゃぶ台ひとつの上に、携帯電話の卓上ホルダと電気シェーバーと目覚まし時計とテレビとノートパソコンと無線マウスとバックアップ用のポータブルHDDがあるわけです。これらを上半分に押しやって、下半分で食事をしている。もう限界だな、という感じなんです!」
「は、はい」
「すみません。えーと、高級なノートなら外部入力端子があるのですか?」
「だいたい20万円以上の機種になりまして、テレビ番組の録画機能が内蔵されているものですね」
「残念ながら予算の3倍ですね。わかりました。諦めて今のデスクトップを使い続けます」

ノートパソコンにPS2やPS3やWiiを接続したいのだが……というのはネットではFAQになっているのだけれども、それはようするに「狭い部屋で一人暮らしをしている世代がネットをアクティブに利用している層と重なっている」というだけの話なのだろうか。

実験室で、普及帯のノートパソコンに映像の外部入力があればいいのに、と思った最初は学生の頃だったので、もう10年来の希望になる。だけど、ちっともそういう商品って、出てこない。逆にAVパソコンとかいって16型くらいのフルHDディスプレイを搭載してさえ、外部入力のない機種がいくつもある。不思議だ……。

いや、だってさ、それほどの画面のあるノートパソコンがあれば、一人暮らしの場合、もうひとつディスプレイを持つのって、全く無駄でしょ。リビング需要と個室需要、と考えてみても、パソコンが個室の設備なら、個室用の録画機器とパソコンを接続できたら嬉しいじゃない。なんで大画面テレビが他にある前提なのか。

……といってみても、実際にマーケティングしたら、「パソコンよりテレビに優先的にお金をかける」人が大半なんだろうな、そして「仕事用ならデスクトップでいいよ」という声が大きいんだろうな。

ディスプレイ編

「16型でWUXGA(1920×1200)くらいの画面解像度のPC用ディスプレイはありますか?」
「申し訳ありません。そのような商品はございません」
「でもノートパソコンだと16型くらいからフルHD(1920×1080)液晶とかいってるのがあるじゃないですか」
「申し訳ありません」
「では何型くらいからWUXGAになるのでしょうか」
「だいたい23型以上ですね」
「そんなデカいの、会社のデスクに置く場所がないですよ……。みんなそんなに広い机で仕事をしているんですかね。教科書や講習会のテキストや書類なんかが机の上になくていいのかなあ。そんなに書誌の電子化が進んでいるとも思えないんだけど……」
「申し訳ありません」
「えっと、話を変えますが、視野角が狭いディスプレイってあります?」
「珍しいですね。後から覗き見防止シートを貼っていただくのが一般的かと思います」

そのシートというのがまたやたら値段が高いんだ。視野角の狭いチャチな液晶を使ったディスプレイがあれば、値段も安くて一挙両得だろうに。なんでそういう商品がないのか。

暫定まとめ

こうして5年以上も「こんなのが発売されたらすごくほしいのになあ」と思いながら心待ちにしている商品が、いくつもある。どれも大ヒットはしそうにない商品案なので、まあ無理なんだろうな。私も責任は取れないし、こうしてネットの片隅でつぶやくだけ。

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