趣味Web 小説 2010-07-03

Excelで書類を作る理由

1.

仰っていることはよくわかる。共感できる部分も、少しある。

世間によくある「表計算ソフト」という名前に縛られて現実の需要をないがしろにする意見には、賛成できない。Excelは「Excel」というジャンルのソフトだ、と考えた方がいい。Excelフォーマットの申請用紙は社内に多々あって、Excelのセルの扱いが現実の多様な要求によく答えていることを日々実感してます。

2.

世間の多くの人は、表計算ソフトの「格子」を、「2次元配列」ではなく、「レイアウト用紙」として見ているのだと思う。

「2次元配列なんて、そんなものは知らん。 Excelのシートは、自動で計算してくれる魔法のレイアウト用紙だ」

という考え方である。

しかし、レイアウト用紙として見るなら、紙の端から端まで、単一の格子がぶち抜きになっているExcelの構造は、極めて不自由ではないだろうか?

私も以前はそう思っていましたが、会社には1mm単位(だったかな?)に格子が切られた「レイアウト原紙」があり、これを使ってみたら、割とどうでもよくなりました。作業手順はこうです。

  1. 好きなように(レイアウト用の)枠線を引く。
  2. 枠内のセルを結合し、完成形を得る。
  3. 不要な行と列を削除する。
  4. 手順3によって縮んでしまったセルの幅と高さを復元・調整する。

総務に職人がいて、「実線の枠の中に透明線でさらに区切りがあり、自然な位置でマウスをクリックして文字を入力すると、いい感じに周囲のセルと文字の位置が揃って、数値のチェックをしやすい」なんて工夫がされたシートもあります。セル書式をなるべく使わないのは、指定漏れが起きやすいから。

格子がぶち抜きになっているのは、複数の線の位置を連動させて調整するには、なかなか便利です。Wordで表の調整をする方法を人に教えた経験のある方なら、わかると思う。ちょっとしたコツの問題なのだけれども、Wordだとセルを消したり足したりしているうちに、行ごとに列がズレてしまうことがよく起きる。この対応策を人に伝えるのは、かなりの難題です。Excelの「確実さ」は、「不便さ」によって支えられています。

私案として「1本ごとに自在に調整可能で挿入・削除も自由なレイアウト用グリッド線」というものを考えたこともありますが、やはり混乱の元ですね。ちょっと慣れれば大した手間でもない作業を略すためだけに屋上屋を架しているような気もしますし。従来のフォーマットとの互換性の問題もあります。

そう簡単には、Excelの牙城は崩せそうにない。

3.

Excelのシートを「紙」として見るなら、ひとつのシートに複数の表が入っているのは、ごく自然な話である。たとえば、こんな、ありふれすぎていて例に出すのもはばかられるようなレイアウトを、Excelで表現しようと思ったらどうすれば良いのだろうか?

Excel書類完成図

手元に、インプレスの「できる Excel97」という 恥ずかしい本があるので、一応調べてみたが、載っていないようである(できるの?)。この本には、複数の表を入れたシートの例もいくつか載っているが、どれもわざとらしくタテ線がきれいに揃った例ばかりである。

「できる Excel97」はいい本だと思うけど、それはともかく、私の回答は次の図の通り。

セルの複雑な結合によってレイアウトを実現している様子

ちなみにタイトルは1列のセルを全て結合して中寄せ。見出しは文字の「はみ出し」を使う。

私だって、こんなのは面倒だし不合理だと思う。会議資料ならWordを使う。でも手書きでなくパソコンで表を埋めて返信してもらう場合は、やっぱりExcelにしておいた方が便利だ。表の左寄せの位置を何度も何度も微調整したがる人が、Excelで作成したくなる気持ちも、よくわかる。

4.

ローカルに位置を決められる線と、シート全体で共通の線を自在に使い分けられたらいいのにね。んで、後からでも線の種類を切替可能にするの。CADだとそういう参照線の操作や性質の変更が容易なので、Excelにだって不可能ではないはず。それでも、基本ルールが複雑になってしまうことと、互換性の問題は残る。

だから、レイアウト用のExcelラッパーがあったらいいんじゃないか。最終的にExcel形式で出力されればいいのであって、途中はもっと自由でも不都合はないはず。

5.

互換性について、ちょっとメモしておきます。

Excel形式をCSV形式に変換するツールはたくさんありますよね。どんなに複雑なシートも、究極的にはCSVファイルに変換できる。1m幅のセルを数十個つなげたセルの内容も、CSVにしてしまえば、「何行目かの何番目にあるデータ」になる。

人は目で見てマウスとキーボードで入力するので、複雑なレイアウトが求められます。でも、それを処理する側は、各セルが何行目の何番目にあるかということだけ認識できていればいい。そういうことが少なくない。それで、ある種のツールはExcelをCSVと同じ感覚で食ってくれる。Wordじゃ、なかなかそうはいかない。

シート全体がExcelで作られていればこそ、回収した数千枚の記入済みシートを、手馴れたツールで手軽に集計できる。そういう場面って、ときどきあるわけで。「新入社員の研修報告をツールに食わせると、一覧表形式で整理されたシートが出てくる」みたいな基本的な使い方だけでも、なかなか便利ですよ。営業課員の日報とかなら、ちゃんとシステム化した方がいいのでしょうが。

ともかく、最終的にExcel形式であって、しかも人間が何とかついていけるくらいの複雑さで収まっていることには意味があるな、と感じています。1px単位でグリッドを切って無茶苦茶な行数、列数にされては、さすがにたまらない。

例話:「WordよりExcel」って、こんな感じ。

レイアウトの自由度が低くても、PDFよりHTMLの方が内容を再利用しやすい。といっても、HTMLなら何でもいいというわけじゃなく、ホームページビルダーのどこでも配置モードではソースが謎すぎるから、標準モードくらいにしてくださいね……。(この表現で、一部の人には伝わると思う)

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