趣味Web 小説 2010-08-22

ここがその「楽園」です。たぶん。

戦後日本の製造業の作った製品は、世界に輸出され失業者を作ったよ。

今中国が、自国の安い労働者に作らせた製品は、世界に輸出され、職を奪っているよ。

だから何だ、という話で。中国人にとってゲーム作りが割に合う仕事で、日本人にとってはそうではないというなら、日本は中国からゲームを輸入して、日本人は他の仕事をした方がいい。

このとき、日本でゲーム産業に従事していた人は「職を奪われた」ことになるけれども、儲からない仕事にしがみつくより、もうちょっと利益の出る仕事をやる方がマシです。戦後、日本では多くの離農者が出ましたが、海外の農家に職を奪われて日本人は不幸になったのでしょうか。儲かる産業に従事し、生活が豊かになって、平均寿命がグーンと延びました。だいたい、よかったでしょう。

もし本当に日本のゲーム産業が斜陽で、継続不可能であるならば、継続しなくていい。滅びるなら滅びるに任せるべきです。その方が、個人としても、その総和の社会としても、正しい選択。社会全体の失業率だけが重要なのであって、特定の産業が消えるのは問題ではありません。

中国は政府がゲーム産業を保護しているのに、日本政府は保護してくれない、これでは互角に戦えない。なるほど、それは確かにその通り。けれども、そのかわり中国人全員が、ゲーム産業を保護するために税を負担をしていることに注意してください。中国政府が保護していない全ての産業について、日本はちょっとずつ有利な勝負ができているわけです。

そして政府の投資は、民間の投資よりも、平均すると成功率が低い。だから、中国の経済は、全体としてはバカな経済政策のために損をしているんです。(日本政府の農業保護も構図は同じです)

したがって、特定の産業の興廃を眺めて、海外に富をばら撒いたといって怒るのは違います。かつて生糸生産者は、生糸作りに誇りと愛情を持っていたけれども、儲からないから止めることになりました。それはつらいことでした。「海外に生糸のシェアを奪われるのを座視した政府は許せない」そう思いもしました。

でも、最盛期の労働力をずっと生糸生産に張りつけていたら、日本の経済発展は絶対になかった。日本人は今でも平均寿命が60歳くらいだったかもしれません。

日本は何が得意なのか、それは市場に聞く他ない。政府が「日本はゲーム産業が得意に決まっている」と決め付けるのは危険なんです。これまで得意だったことが、これからも得意だとは限らない。特定の産業の保護は、するべきではありません。大雑把な議論としては、そうです。

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