趣味Web 小説 2010-10-15

memo:経済雑感 #2881

リンク先では表題の主張に賛否両論が出ている。私は「おかしくない」派。需要と供給の関係によって賃金を決めるのでなければ、経済はうまく回らない。市場の効用を減じてまで東大の非常勤講師の給料を増やすだけの理由は、私には思い当たらない。

東大の非常勤講師という肩書きには外部効用があるので、ボランティアでもやりたい人は多いのではないかな。でも、本当にボランティアにすると、講師をしてほしい人の何割かに断られてしまう。そんなわけで、折り合いがついているのが現在の価格なのだと思う。まあ、非常勤講師の労働市場がちゃんと機能しているとは考えにくいが、「そんな薄給では嫌だ」というトラブルが、給与水準を上げるほどには起きていないのだろう。

ちなみに。この話題に関して「世の中」はおかしくないと考えるが、「現在の東大非常勤講師の給与は安すぎる!」と声を上げる人が出てくるのは正しい。逆に「私ならもっと安価に請け負いますよ」という人もいていい。そういったせめぎあいがなければ、市場は機能しない。価格が高すぎても安すぎてもフィードバックが必要。何の情報もなしに誰かが直感で決めてしまうのがいちばん問題。

同じような話だと思う。

労働契約なら最低賃金の問題があるけれども、商品の取引なら、需給で価格が決まるのが正しい。安値で請け負う人を攻撃する人もたくさん。経済史を繰り返しているな。いつも既得権益を守りたい側は必死だ。自由市場の利益は直接には消費者の側にあるのだが、回り回ってみんなの(少なくとも経済的な)利益になる。

……のだが、説明して納得してもらうのはなかなか難しい。経済学の教科書を通して読んでいる人ですら、経済とは別の観点からではなく、まさに経済問題として一種の座や談合やカルテルの変形版を堂々と支持してくれたりする。250ページ読んで説得されなかった人を、私が説得できるわけない。

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