サラ金規制の是非は、思想的には功利主義とリベラルの対立だ。リベラルの人が、その信念からサラ金規制を訴えるのはいい。私も説得の言葉は持たない。多数決で負けたことも甘受する。だが、目が曇って事実を見ることのできない人もいるのは残念だ。資料を読めば大多数の利用者の姿が見えてくるはずなのだが、データより直感が重要らしい。
素朴に考えてほしいわけだが、多重債務者なんか相手にするのはババ抜きであって、安定した商売たりえない。そんな人は審査で落としたい。人権侵害に相当する取立ては禁止されているのだ。ちゃんと定職に就いているが、収入と支出の片方または両方に波があって、一時的に赤字になることがある、という層だけを相手にしようと苦心するのが当たり前じゃないか。
簡単審査の利便性だけがサラ金の売りなので、長期的にも収入より支出の方が多くなる客の排除に限界はあった。だが結果としてサラ金の顧客に「詰んでいる人」が相当数いることを、サラ金業者が多重債務者から搾取している、と読み替えるのは間違っている。危険客がどんどん破産するから、サラ金業者はその金利から素朴に連想される水準よりずっと少ない利益しか出せない。
イギリスの事例。羨ましい。