趣味Web 小説 2010-10-22

memo:バブルの定義

1.

「現状は国債バブルである」という説は以前からある。お決まりの反論は「そう思うなら国債を空売りでもしたら儲かるんじゃないの?」なのだが、「いつバブルが崩壊するか」は明らかでない。ひょっとすると満期を迎えるまでずっと国債価格は「高止まり」するかもしれない。

これは世界金融危機を招いたサブプライムローン問題も同じで、「アメリカの住宅バブルは崩壊する」という声は、実際に不動産価格が下落する前からたびたびあった。が、「いつ」の予測が立たなかったので、バブル崩壊を儲けにつながる形で予見できた人も組織も僅かだった。

2.

商業地の地価推移

日本の不動産価格は「本当にバブルが崩壊した」感がある。元の上昇曲線への復帰どころか、元の地価にすら戻ってはいない。

東証一部時価総額推移

株価については、日経平均の推移を見てもあまり意味がないと思うので、東証一部の時価総額に注目すると、1989年12月末がピークで、同年11月末が2位、2007年6月も惜しいところまで迫って3位。これも1950年代から1980年代末までの上昇曲線への復帰は考えにくい感じ。80年代後半の伸びは特別だったとしても、以降、山の方は次第に高くなるも、谷の底は相変わらず250兆円程度。底上げの方が進まない。

3.

価格が急落するたび「バブルが崩壊した!」という人が出てくる。モノの価値が急変しているとは考えにくいから、価格と「真の価値」は一致していないと考えるのが妥当だ。しかし、価値と価格のズレは、値段が高くなる方向だけでなく、値段が下がる方向にも存在すると考えるのが自然ではないだろうか。

とはいえ、繰り返し250兆円程度まで落ちる東証一部の時価総額などを見ると、「時価総額が300兆円を超えたらバブル!」といっても、世間的には一定の説得力があるような気がする。私の周囲だけかもしれないが、どうも多くの人は「真の価値」を「全員が認めざるを得ないもの」と定義しているらしい。なるほどね、その定義なら、株価でも地価でも底値こそが真の価値ということになり、それ以上の価格は「不当に高い」んだな。

バブルの話題からは離れるが、公共料金や電車賃などについての議論が噛み合わない理由の一端がわかった気がする。都会の通勤ラッシュを解消する方法:補足(2009-11-21)では「超過利潤があればこそ新規参入が起き、競争を通じて積極的な設備投資も行われるのだ」と主張しているが、この意見に同調してくれた知人は少ない。「超過利潤=不当な利益」だから許せない、電車賃を上げるな、で終了。

私の周囲の人が偏っているわけではなかろう。行政は市場による解決を目指さず、企業に社会貢献のための経営努力を強いて僅かなお金を搾り出し、少しずつ輸送力を増強している。通勤ラッシュの緩和は着実に進んでいるが、通勤ラッシュ解消の目処は全く立っていない。私には不満のある方策だが、混雑を解消せよ、ただし運賃は上げるな、という人々の声に誠実に応えた結果だろう。

追記:

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