一昨日、やっと献血できた。14年越しの実現だ。
私はアレルギー体質で、アトピーと喘息が主な症状である。ステロイドを服用することは滅多にないが、ステロイド入り軟膏は手放せず、これが献血不可の要因となっていた。
今秋は久々にアトピーの状態がよく、ひょっとしたら、と思っていた。ちょうど会社に献血車がくることがわかったので、10月後半から睡眠時間を増やし、摂生に努めて、どうにかステロイド入りの軟膏を使わずに献血当日を迎えることができた。
ステロイドの服用は年単位で過去の話。ステロイド軟膏は1ヶ月断っているし、最近3ヶ月でも、強い薬は使っていない。腕の状態を見ても、少し乾燥気味なだけで傷がない。問診の結果、これならいいでしょう、ということになった。
母は私を産む際、大量に出血して危機に陥り、輸血を受けた。母は低血圧なので、自分でその血を返すことはできない。母を助けてくれた社会への恩は、私が返さねばなるまい。私は16歳になると、献血を希望した。だが、断られてしまった。残念だが、仕方ない。私の血が、かえって人の命を危険にさらしては本末転倒だ。その頃はまだ、アトピーや喘息がすっかりよくなる可能性に期待していた。
まさか、献血できるまでにそれまでの人生と同じくらいの時間がかかるとは予想していなかった。20歳までに心の負債を完済して、それ以降は貯金をするつもりだったのだ。
400cc全てが使えるわけでもないだろうから、最低でもあと4回は献血したい。できれば、新たに1人を救えるよう、さらに5回、計10回の献血をしたいと考えている。30年余りでようやく1回だから、ふつうに考えたら絶対に無理なのだが、諦めてはいない。
体力に自信はなく、低血圧な方でもあり、献血後は元気がなくなった。勤務に支障はないが、一昨日、昨日と10時間以上眠っている。
血管も細くて血の出が悪く、私の採決中に他のベッドでは2回の入れ替えがあった。タイミングのズレを考慮しても、ふつうの1.5倍以上の時間がかかるらしい。それでも、献血に協力してくれる方がいいというので、今後も可能な限り参加していきたい。
ちなみに父は過去に数十回の献血をしており、私が幼い頃は「お母さんはお父さんの血で助かったようなもの」と子どもに言い聞かせていた。私と弟が、母にばかり懐いて、父を理由なく避けていたからだ。かつて私が母の受けた輸血の分だけは献血すると心に決めた理由の一端には、父への反発もあったのかもしれない。