趣味Web 小説 2011-01-28

盗品の無料バザーを歓迎する人々は不愉快

昨年末、はてブで上位に出てた記事。「またか」とゲンナリした。

全て調べたわけではないが、全くコンテンツ製作者の利益にならないサイトがいくつも並んでいることは確認した。紹介されているサイトには、個人が趣味で撮影・投稿した動画もたくさんあるのだろう、きっと。だけどリンク先記事にある各サイトの解説文には、「新作AV」だの「女優で探せる」だの「芸能お宝」云々だのという言葉が繰り返し出てくる。当然、それを読んで「これはいい」と思う人々は、「権利的に問題のない映像だけを視聴する」つもりなど端からありはしないのだろう。

はてブの反応も悲しい。批判的な視線がほとんど感じられない。どうして、性行為を撮影した映像作品の場合、製作者に何の還元も行われないことに直感的な嫌悪感がわいてこないんだ? お金の話だけじゃない。名誉の問題だって大きい。動画の読み込みをオフにして、タイトル、説明文、タグだけをチェックしているのだが、この手の動画共有サイトに投稿された動画に、製作者の名前が添えられている事例は皆無に近い。演出どころか、女優の名前すらない動画が、やたらたくさんある。どうかしているとは思わないのか。それでもコンテンツの供給は続いており、業界が壊滅したわけではない。だから安心している、ということか。自分ひとりくらいフリーライダーでもいいだろう、と高を括っているわけか。

雨後のタケノコのごとく現れる「壁紙スレ」と同様、不愉快きわまりない。何が「本当に使える動画サイト」だ。ようは盗品の無料バザーじゃないか。たまに「私は転載を歓迎します」という製作者や出演者がいるわけだが、ならばそういう方の作品だけを共有物にすればいい。複製不可とパッケージかどこかに記されていたはずの作品を「文句をいわれるまでどんどん共有物にしていく」なんてことまで、擁護できるわけがない。

追記:

指定したアーティストの曲のYouTube動画を連続再生できるサイトだそうである。公式動画だけを対象とするならよいが、残念ながら、そうではない。

直接的には違法アップロードされた動画をきちんと取り締まらないYouTubeが悪いのだが、それを「便利」だの「すごい」だの「すばらしい」だのといって歓迎している連中こそ諸悪の根源なのだ。こういう連中が、違法アップロードをする人に「ありがとう」なんていっているから、違法アップロードが減らないのだ。違法なアップロードをする人が四方八方から絶えず罵倒ばかり浴びせられるなら、世間が彼らの逮捕と社会からの隔離を希求し、取締りを財政的にもバックアップしていくなら、必ず違法アップロードは下火になるはずなんだ。

ちゃんとアーティストに利益を還元していた有料(といっても高々月額千数百円の定額制だった)の音楽聴き放題サービス Napster Japan が撤退して、こんなサービスが歓迎されるような社会には、心底うんざりだ。アーティスト名で検索して連続再生? 聴き放題? そんなの、Napster で実現できていたことじゃないか。有料でしかも「あの曲がない」「この曲がない」というので、不満があったのだろう。しかしだからといって、違法アップロードされたものであっても、自分の聴きたい曲が聴ければそれでいいという自分の身勝手さを臆面もなく肯定してみせる人には、呆れる他ない。

現状の『君のラジオ』を何の留保もつけずに褒めているような人々は、みんな失業して飢え死にすればいい。広告モデルで云々、それはアーティストの許諾を得て、合法性を確保してからいうべきことだ。順番が逆なんだ。合法サービス同士の競争が激化していった結果、無料サービスをはじめる業者が出てくる、ということでなければならない。絶対に削ってはいけないコストを最初に削ってしまった違法サービスを擁護できる理由など、ありはしない。

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