趣味Web 小説 2011-02-08

memo:経済雑感 #2956

この記事ははてブの反応が謎だった。

  1. 2000年代前半の潜在成長率は韓国4%台後半、日本1%程度、その差は3.5%程度だった。また、韓国にデフレギャップはなかったが、日本には1%のデフレギャップがあった。日韓の約4.5%の成長率格差は、その多くを潜在成長率の差(=供給力の成長率格差)で説明できる。
  2. 潜在成長率は労働投入、資本投入、技術進歩に要因分解できる。韓国はまだ人口ボーナスの状況にあり、労働投入と資本投入の寄与率が合計2.5%超。同じ時期、日本は労働投入の微減を資本投入で相殺して0%だった。しかし今後、韓国は急速な高齢化に見舞われ、日韓の成長率格差は縮小する。

……という記事に、どうして以下のような感想が付くのか。

nuicksilver 対日貿易赤字にはまったくふれず、日本の構造がと言われても説得力ゼロ。

触れる必要がないから触れていないことは、読めばわかる。

temtex 成長起因の殆どを輸出だのみにする韓国で、何故に内需起因の経済成長理由があるのかさっぱり。

これはtemtexさんの読み違い。いくら外需が旺盛でも、労働と資本の投入量を増やせなかったら、供給が追いつかず経済成長できませんよね? 高安さんは供給側の話をしているんです。

mkusunok これは『デフレの正体』と共通した視点かな

違います。『デフレの正体』は高齢化が進むと需要が減ってデフレになる、という内容。私としては全く支持できない意見だけれども、それはそれとして、この記事は供給側に着目したもの。視点が共通しているのは小峰隆夫さんの『人口負荷社会』です。

補記:

記事の誤読とは違うタイプの感想について。

API インタゲしてるから。

それで説明できるのは1%分ですよ、というのがこの記事の視点。デフレを脱却して、デフレギャップをなくしてもなお追いつけない成長率の差に注目しているわけです。

ただ、APIさんはおそらく「デフレが潜在成長率を抑制している=緩やかなインフレ下では日本の潜在成長率は記事中に引用されている内閣府推計より高い」という予想に立脚してコメントされているのでしょう。ところで、APIさんの予想通りだとして、インフレ下では労働投入、資本投入、技術進歩のどれが伸びるのか。労働投入、かな……。

ahahasasa EPAなどの戦略面での話がないのがちょっと残念

タイトルからそういう話を期待したけど、違っていて残念、ということかな。記事の構成上、高安さんがEPAに触れていないのは自然だと思うけど。なお、経済連携協定(EPA)は労働投入、資本投入、技術進歩の全てに寄与するものと期待されています。

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