趣味Web 小説 2011-05-06

memo:同じじゃないの?

  1. 事象を想定し,影響を評価し,対策を取る
  2. 事象を想定し,影響を評価するが,十分な対策は諦める
  3. 事象を想定するが,影響を十分に評価できないため,最大限の安全係数をもって対策とみなす
  4. 事象を想定するが,影響を評価できず,対策も取らない
  5. 事象を想定せず,対策も取らない

俊さんは、第3項まではいいが、その先はアウトで、福島第一原発の事故は第5項に該当するからダメだという。まず気になるのは、著者はどうして、自動車事故をゼロにしないことを肯定するのか。

自動車はわかりやすい例です.なぜかというと効用とリスクが明確で,被害についても,効用のためにリスクを取った本人の命と引き換えという単純な関係が保たれるからです.

自動車事故で死ぬのが運転者だけならいい。でも車にはねられて死んだ人はどうなるの。何のメリットもなしに被害だけ貰ってるじゃないか。

仮に「現状程度の安全対策しかしていない自動車」と共存する社会を消極的にであれ支持して、きちんと意識していなかったにせよ様々なクルマ社会の恩恵を受けてきたのだから、ある水準以下の確率であれば「車にはねられて死ぬのも仕方ないね」というなら、原発事故についても同じような説明が可能になる。

ちなみに日本の交通事故死者は、累計で50万人を超えています。また自動車の普及に伴い、人々が安心して歩き回れる空間は寸断されてしまいました。自動車の利便性を擁護して、私たちはどれほどのコストを支払ってきたのか。

あるいは。東京電力は海嘯という現象そのものを想定していなかったわけではない。こうした場合に、「想定以上の海嘯」について考えないことを自動的に第5項に分類するなら、少なからぬ工業製品が第5項に当てはまりそう。

俊さんが例に挙げている自動車だって、規格の範囲内で乗員の命が助かるかどうかは調べているだろうけど、どこまでいったら死ぬのかというラインは調べていないと思う。自動車の安全規格を見ても、この条件をクリアすればいいよと書かれているだけで、アウトになるラインを見極めろとは書いてない。もし規格通りのチェックしかしていなかった場合、やっぱりそれって福島第一原発と同じですよね。

結局、私の疑問は何なのかというと、第2項と第5項を峻別する意味がわからない。

この2つ、そんなに違いますか? 「工学」の範囲内では、これって同じことだと思うんですよね。

リンク先記事の後半部は「どこまでを想定の範囲内とすべきか」を主題としていて、それこそが本題なのだろうと思いましたが、私はその話題には触れません。

Information

注意書き