新人に組織人としての経験は問わないが、プログラミングの経験は問いたい、という話だと理解した。いまどき、趣味でプログラムを作成して世に出すのは、個人でも可能なこと。入社してからプログラマーになるつもり、なんて人材は信頼するに値しない。プログラミングに強い興味関心があり、趣味でもプログラミングをやっているような人を雇いたい、と。
なるほどな、と思う。思うけど、たいていの企業は、そんな条件で足切りをしたら必要な人員を揃えられないだろうな。ITバブルが崩壊して就職氷河期だった2001年に就職活動をした世代ですら、SPI程度の就職対策もやらないのが新卒組の過半だった。内定者の懇談会ではみな「就職活動には苦労した」と口々にいったけれど、よくよく話を聞いてみれば、企業が自分を採用したくなようにするための「まともな努力」をした人は2割にも満たず、企業の採用担当者に同情しましたね、私は。
大卒の就職率が6割だとか7割だとかいうけれど、漢字の読み書きもロクにできない学生が過半だというのに、よくそれだけ採用されているものだ。私が入社したときに新人研修の一環で漢字テストがあって、内定者には事前に出題範囲のテキストが渡されていたのに平均点が50点程度だったから、人事の人がブチ切れた。
別に、最近の若者がとくに勉強しないということではないだろう。だから、生まれた時代のせいで就職に「苦労」する若者に、一定の同情はする。だけど、むしろ何の勉強もせずに就職できる方がおかしくて、就職は厳しいくらいで当然なんじゃないのか、という気持ちもあるんだよね、正直なところ。
まあ、そういう私は不良社員なので、実際に入社希望の学生らと廊下ですれ違うと「もし自分が仕事を辞めていたら入社枠が1つ増えるのかもしれないな。何だか悪いなあ」とか思って、肩身が狭いわけですが。
就職活動で「苦労」したという人って、漢字や技術の勉強そっちのけで他人に好印象を与えるファッションとか仕草とか、こういう会話術とか、なんかそんなことばかり気を配っているような感じ。中学校の定期考査でいうと、結局、自分の好きな科目ばっかり勉強して、苦手科目は最初から捨てている、みたいな。
やっぱり、体育と家庭科だけ点数がよくても、主要科目の出来が悪けりゃ評価はイマイチじゃないかと思うのだけれど。似たような話で、よく「大学の成績は参考程度」というけれど、それは「教養科目で優を稼ぐ」みたいなのは意味ないよ的な話。電気の技術者として応募する人の回路理論演習Iが「可」ではマズい。