趣味Web 小説 2011-06-09

ロンドン条約(1972)は不磨の大典か

ロンドン条約(1972)には不合理な部分がある、というのが私の認識。基本的には間違っていない条約だから、拙速に脱退してしまうのはまずい。1996年の議定書をさらに推し進めて、「投棄管理の厳格化と影響評価のための手続き」を条件に使用済み核燃料の投棄再開に道を開くべき。

厳格な管理が不可能と判明したり、影響評価をした結果「やっぱりダメだ」となったなら、それは仕方ない。だが、十把一絡げにダメだという大雑把な条約を前提条件としてしまうのは、感心しない。

2ちゃんねるでは反論がいろいろ出ているが、使用済み核燃料は水溶性じゃないし、重いから容器が壊れても浮いてこない。水深1万メートル級の深海では、水面近くまで核物質を運搬するような生物も見つかっていない。水面に近い光が届く範囲と海底付近にはそれなりの密度で生物がいるけれど、間の領域の生物密度はかなり低い。食物連鎖で海溝の底の物質が水面まで上がってくると単純にはいえないのは、そのため。

原発事故で問題になったのは、運転中や停止後まだ熱い間の原子炉で発生する軽い放射性物質が水と一緒に流れ出し、また水素爆発で飛散したこと。あの爆発でもプルトニウムなどの重たい物質は原発の敷地外へは出なかった。海に投棄する使用済み核燃料は冷えた状態にあって、その周囲に軽い放射性物質を次々に生み出したりはしない。だから、容器が壊れても、とくに問題ない。

以上は仮説なので、「本当にそうなのか」は環境評価の方に調べていただく。けっこう長い間、使用済み核燃料や古い原子力潜水艦は海溝に捨てらてきた。ロンドン条約では一律に禁止されたが、きちんと研究すれば条件付でOKになる可能性がある。結果としてアウト判定が出た場合、調査費用は「無駄遣い」と批判されるのだろうが、セーフの場合の利益は大きいので、ぜひ挑戦してほしい。

余談:

空気は温度差が大きいので、ダイナミックな対流が起きる。だが海の深い部分の水温はほぼ一定なので、対流は起きない。では黒潮や親潮などの海流は何が引き起こしているのかというと、風が起こしている。だから海流は、海の深いところには関係ない。浅い海では海流も対流もあって、海の水はダイナミックに動くという印象があるが、深海の水は基本的に澱んでいて、重たい物質を運ぶ力を持たない。

……今後、さらによく調べたら、こうした知見がひっくり返るかもしれない。だから、今すぐロンドン条約を脱退して使用済み核燃料の海溝への投棄をすべき、といいたいわけではない。しかし、条約があるからといって、最もリーズナブルな方策の実現可能性を探る努力を放棄するのは、賛成できない。

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