そう。グーグルのチームは2つのブルーから1つ選ぶこともできない。あの41通りのグラデーションを試してどれがベターか比べてるという話は本当さ。ついこの間もボーダー幅を3か4か5ピクセルかで言い争いになって、そんなに言うなら自分の主張が正しいことを証明しろと言われたさ。こんな環境では、やっていけない。こんな瑣末なデザインの決め事で口論なんて、もううんざりだ。この世界には対処しなくてはならない、もっとエキサイティングなデザインの課題が他にあるのに。
このところ、Googleの様々なサービスのデザインは、良くも悪くも、ずいぶん変わってきている。この変化の速さと大きさから想像するに、辞めたデザイナーに同調する側がGoogle社内で主流派になったのかもしれないな。
ボーダーの幅や、特定の部分の色の選択などにいちいち科学を持ち込んで、地味な作業を延々と積み上げていた頃、Googleのデザインは保守的でつまらないものだった。それはWindowsのクラシックスタイルのようなもので、たしかに革新的とはいえず、ダサい印象もあったが、やはり使いやすかったと思う。
しかし Windows Vista までは逡巡しつつもクラシックスタイルを使っていた私も、Windows 7 からはデフォルトのスタイルを利用している。私がふと疑問に思うのは、「クラシックスタイルを改良していったら7のスタイルになるのか?」ということ。Douglas Bowmanさんがウンザリして辞めたのは、「それは無理だ」と考えていたからだろう。
A案とB案の比較ができることはわかっている。では、B案のほうが優れているとして、A案を科学的に改善していったらB案に到達するのか、という話。
最近のGoogleは、以前のデザインを少しずつ改良していくのではなく、ユーザーテストで支持された別のデザイン案で置き換えるという「Windows方式」に転換しているような気がする。
そうではないのだとしたら、何かしら技術的なブレイクスルーがあって、相当大きなデザインの変更まで科学的に行えるようになったのか? Yesなら夢が広がるけど、個人的には使いにくくなったように思えるから、世界中のサービスにこれを真似されては堪らないな……。