納本制度に罰則がないのは、個人的にはよいことだと思う。でも納入率が金銭で改善できるなら、もうちょっとだけ税金を投入しても……。まあ、世の中あちこちにこうした問題があって、「もうちょっと」の積み重ねで財政が大赤字になっているのだが。
でも、諦めきれないな。納本制度の対象となっている出版物は年間10万点程度といわれているから、2~5億円程度の予算があれば、全部定価で買えるんじゃないの? 納本という仕組みだから、何十万部も売れた本が入っていなかったりするので、買えるものは全部買うという仕組みに切り替えてもいいんじゃないかと。
2~5億円というのは、人口数万人の都市で図書館の本館を建て替えるのにかかるくらいの金額。市町村の合併が進めば公民館に間借りした分館で置き換えることができる。それくらいの予算規模なんだよね……。大きな街と合併したくない町村が半ば意地で町外れに運動公園を整備するのに要したお金なんてのも、私は無駄だと思うわけだけど、その無駄金があれば2~3年分くらいになる。
日本全国で小さな地方自治体がよそと張り合うために無駄遣いしている金額を見ると、そっちを合理化してここにお金を回すことができたらいいのに、と思うことがよくある。まあでも、それは、私から見て「無駄」なだけで、自治体の独立や面子を守りたい人々にとっては無駄じゃないんでしょう。個人的にはね、図書館くらい、近隣の自治体と完全にシステムを一体化しちゃえばいいのにと思うのだけれど。県内での図書融通も便利になりつつあるけど、よそから借りた本は返却ポストで返せないのが地味に不便だし……。
ちなみに国立国会図書館関西館の建設費は計画段階で363億円だった。建物にそれだけの金額を投入できるなら、図書を買うことにも予算を割いたって……。ま、そういう議論に賛成する人が少ないのだろう。かくいう私も、他の問題なら「罰則で何とかできないの?」という側に与しそう。思い入れの問題だよな……。