カリブ海諸国のバナナプランテーションでは、バナナ会社は儲けても、バナナ農園で働く労働者はバナナを食えない。バナナ会社と、労働者の利害関係は一致してないわけだ。
それは再分配の問題。バナナ会社の利益がみんなの利益になるようにすることは、本来、可能なことのはず。投資を回収し、収穫期に入ったプランテーションの場合、再分配の強化で外資が逃げても、基本的には問題ない。既に現地資本化されているなら、再分配を強化したって、経営者らは他に行くところがないだろう。
もし、再分配の強化を嫌って経営者らが逃散した結果、販売ルートの確保や栽培技術の維持、肥料の仕入れなどで支障をきたし、事業の存続が不可能になって農園が閉鎖されてしまったとすれば、「よりマシな道を選ぶし」という基本に立ち返るしかない。
個人的には、「やってみたらいい」という立場。たとえ失敗だとしても、実際に失敗してみないと、国民の不満は募るばかり。いきなり国全体で実験をするのではなくて、「再分配強化特区」のようなものを作るのがいい。農園は土地に縛られており、移動できない。工場だって、特区の設置期間が3年以下なら慌てて逃げ出す方が高コストという予想が立つから、たいていの企業は、まずは様子見を選択すると思う。