私は下記の業者にフィルムのスキャンをお願いしました。
定価は35mmフィルム1本につき525円となっていますが、65本のフィルムをまとめて頼んだら、割引がありました。仕事が速くて低価格。品質は、厳しい方はいろいろ仰るのかもしれませんが、個人的には満足のいくものでした。65本ものフィルムを3万円足らずでスキャンできる状況で、自分でスキャンしようとは思わない。
1本だけ110フィルムがあって、これは写真のセントラルでは扱っておらず、オーバードライブに依頼しました。1コマ105円でしたが、110フィルムがたった1本しかないことと、ただでさえぼろぼろのフィルムをプリントしてからスキャンしても結果は悲惨きわまりなかろうということで、依頼しました。
問題はむしろ、スキャンした後。
これまで実家では「熱海へ旅行に出かけたのはいつか?」といったことで、家族間のつまらない論争が繰り返されてきました。家族の歴史はWikipediaに載っていないので、自分たちで資料集を作るしかない。この正月、早速、3回も「じゃあ、アルバムで確認してみようよ」と、役に立ちました。
常時、PCが起動している家なら、本にした意味はほとんどないかもしれない。でも、そうでない家の場合、本の方がサッと調べやすい。最近だと「それiPadでできるよ」かもしれませんが、家族4人で手分けしてアルバムを調べていたとき、「将来のことはわからないけど、いまこの瞬間は、本にしてよかったな」と私は思いました。あまり共感されそうにない話ですが……。
私の場合、Photobackで出力するというゴールを決めていて、フィルムのスキャンはその準備でした。でも、作ったアルバムが何の役に立っているのかといわれると、説明は難しい。記憶違いが多いのに自信満々な父を凹ますためのツールとして役立っているだけ? それでも、個人的には満足してます。
PhotobackとかDreamPagesって、単純に印刷のクオリティの話をしたら、ふつうのプリントを集成したアルバムに対して優位性がないんです(とくにDreamPagesの品質は……)。かといって、とくに価格が安いともいえない。じゃあ存在意義がないのかというと、決してそうではなくて。
例えば。素人の写真って、未完成というか、無駄が多い。トリミングするだけで、割とよくなる。フォトブックなら、これが簡単なんですね。とくにPhotobackの編集画面は、私にとってはとても使いやすい。「これほど簡単なら自分でもやる気になれるなあ」と。ふつうのプリントでトリミングの指示をするのは面倒。100枚以上のプリント全部にトリミングの指示とか、ありえない。でもフォトブックなら、ふつうにできます。
あと、しょうもない写真でも、小さくしたら、見てつらくない感じになる。ふつうのプリントだと、引き伸ばす方はいろいろできますけど、小さくする手段がない。BUNKOで1ページに4枚も詰め込むと、ダメ写真でも「ま、いいか」と許せるわけです。4枚詰めるには縦長にする必要がありますが、横長の写真をトリミングして縦長にすれば、構図の無駄がなくなって、さらにスッキリ。
ふつうのアルバムがダメだとは思いません。あれはあれで、いいところがあります。でもフォトブックは、「自分はこういうのを求めていたんだな」と気付かせてくれたサービス。全員がほしがるものではないと思いますが、刺さる人には刺さるはず。
私のPCには元画像が入ってるわけですけど、いったんフォトブックを作ると、基本的にはもう、そっちしか見ないですね。たまにPCの画面いっぱいに写真を出すと、「おお、大きくて迫力ある」と感心するのですが、基本的には、文庫サイズのアルバムをパラパラする方が、私にはいい。
このあたり、全然、感覚が違う人も多いと思う。電子書籍だって、私は紙の本より読みにくいとしか思えず、本棚の節約という意味でしか評価していないのだけれど、逆の主張も割りとよく見かけるわけで。
新婚旅行の頃までは、母の写真もたくさんあるのですが、私が生まれてからは、もう全然。
私が高校生、弟が中学生になって以降、二人とも写真嫌いになって、フィルムの消費が年1本ペースにまで落ちる。子どもたちの笑顔を撮り続けた母に、冷たいことをしたものだな、と思う。
あと、家族写真といえど「すまし顔+棒立ち」は、面白味を欠く。だから子どもが小さい頃の写真の方が、みな自由にしていて楽しい。デジカメ時代になって、フィルムの残り枚数を気にする必要もなくなったわけだし、「記念写真」の様式は、そろそろ廃れていってもいいんじゃないか……というか、もともとあれは学校の旅行向きのもので、ふつうの家族には無用のものだったんじゃないですかね。
あー、でも、「写真を撮るから並んで!」とかやらないと、子どもを背中の方から撮った写真や、斜め上から見下ろすような構図の写真ばかりになってしまうのがなぁ……。カメラマンに徹するなんて、無理ですからね。片手間に撮影しようとすると、「後ろから写真」「斜め上から写真」になっちゃいますよね。
作例は示しません。