Book Guide 2004-03-21

HTMLはじめの一歩―基礎から学ぶホームページ制作

HTML の解説を中心とした、Web サイト作成の入門書です。恐るべき本、というべきでしょう。本書の著者は現役の高校教師で、実際に情報教育に携わっています。HTML の本質をまるでわかっていない方が「現場のノウハウ」を駆使して「わかりやすく HTML を教える」とどうなるか? 本書は、日本の情報教育の絶望的な現状を図らずも暴露した一冊です。

著者は「最近の高校生は中学でワープロはマスターしている」と述べています。これがまるで勘違いで、著者はワープロの何たるかを理解していません。本来ワープロは、まずアウトラインを設計し、続いて本文を書き、最後にスタイルを設定することにより、構成・内容・装飾すべてに一貫した文書の作成を支援するものです。この基本がわかっていれば、HTML の解説を誤るはずがありません。HTML と CSS は、まさにワープロの正しい使い方に対応する技術だからです。著者はワープロを「場当たり的に文章を装飾するもの」としか考えていないから、HTML もそのように解説します。本書は、HTML の仕様書に一度も目を通したことのない不勉強な教師の書いた、非常にいい加減な本です。

体裁や構成が学校のテキスト風になっているのが本書の売りですが、類書「速習WebプログラミングHTML/XHTML」の方が信頼できます。また、とくにテキスト風である必要がないならば、正しい解説を志向した傑作入門書「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。

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