現在、日本で最も普及しているワープロソフト Word で HTML 文書を作る手順の解説を中心とした、Web サイト作成の入門書です。フルカラーの紙面はレイアウトもフォントも色遣いも非常に派手で、少々見づらいように感じます。
本書が発行された2001年にはブロードバンドもまだ普及しておらず、Word で HTML 文書を作成することにはいささかのリスクがありました。生成されるソースの質が低く、無駄に容量を食う文書になってしまうからです。しかし使い慣れたワープロで HTML 文書を作成できる手軽さは他に代え難い面があります。私は勧めませんが、こうした解説書が登場する背景は理解できます。
しかしながら、なぜ類書が少ないのか、一考を要するところでしょう。多いのはホームページビルダーの解説書と HTML の解説書です。HTML 文書をエディタで作成することは素人にも可能だったのであり、また HTML 文書作成ソフトを用いるなら、ワープロではなく専用ソフトの方がよいというのが結論だったわけです。
本書は、今日・明日にも Web サイトを作らねばならないのに何も準備がなくて困っている方など、当座の課題をしのげればいいという状況の方だけに勧めます。趣味であれ仕事であれ、末永く Web サイトに関わっていくのであれば、「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」のような正統派の入門書を選択してください。