タイトル通り、初めて Web サイトを作ろうという方を対象とした本です。ただし多数出ている類書(本書の版元からも出ています)とは対象層が異なっています。構成・解説の到達レベル・レイアウトなどから総合的に判断するに、想定読者層はパソコン自体は使い慣れている学生・社会人でしょう。
本書のブックスタイルは一般的なシリーズ物のパソコン解説書を踏襲していますが、随所に特異な編集方針が顔を出しています。まず WWW の現状、今 Web サイトを持つ意味、コンセプトワーク、サーバ選びといった「具体的作業の前段階」の解説に力を入れています。また作業フローと概説が要所に配置されるなど、各項目の連続性に注意が払われています。さらにテキストによる解説が重視され、図版の脇に補足的に添えられるだけでなく、多くの項目で1頁弱が用意されています。そのため、類書と比較して情報量が多く、到達レベルも少し高めに設定されているようです。新しい試みを取り入れた、興味深い一冊です。
基本的に従来型解説書の延長上にありますので、多くの頁が割かれている HTML の解説は(初級者の実用レベルでは不都合ないとはいえ)問題含みです。したがって、きちんと勉強したい方は易しく正しい傑作入門書「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を優先的に検討すべきでしょう。