Web サイト作成の入門テキストです。パソコン教室や専門学校、あるいは大学の授業のテキストに利用するのに向いた構成となっています。薄い本に幅広い内容を詰め込んでお得な感じです。FLASH まで扱う点で本書のコンセプトは凡百の類書を突き抜けており、100%代替できる書籍がないのですが、私は本書をお勧めしません。
著者は HTML を特定のブラウザ上で何らかの表現をするための道具として扱います。スタイルシートも JavaScript も FLASH も、HTML の表現力不足を補うために用いるのだ、と解説します。これは非常にありがちな誤解で、Web デザインの基礎基本を見誤らせるものです。本書の解説の順序、サンプルの妥当性にも疑問を感じます。
わずか175ページで幅広い技術を紹介するのだから、いずれも初級または入門レベルに留まるのは当然でしょう。けれども、難しい説明を省略することと、わかりやすさのためと称してウソの説明をすることは異なります。到達点は低くとも、方向性だけは正しくすべきでしょう。
テキストなら「30時間でマスター インターネット2 HTML+メール」を、自習用解説書なら「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。いずれも扱う内容は本書よりも狭いですが、信頼できる解説書です。